ヒトゴロシは語る

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そんで枯れ草とか集めて焚き火して、星を見たり、映画の話とかしてゆっくり過ごしていたんだ。

　本当に星空も綺麗で、まるで自分が映画の中の世界に飛び込んだような感覚だった。

　それはマリアもそうだったみたいで、感動のあまり涙を流してた。

　とてもいい時間だったんだけどさ、ここで別のことを思い出しちゃったんだよ。

　ほら、俺、スナッフビデオをバカみたいに見てた時期があるって言ったよな。

　その中にさ、あったんだよ。

　旅の途中で出会ったヒッチハイカーを、痛めつけて、焚き火の中に突っ込んで、殺すやつが。

　それを思い出した途端、星空とか映画とかどうでもよくなっちまった。

　あれが来たんだよ。自分の手で他人を殺したいあれがさ。

　この前のメアリで収まったと思ったのに、……まぁ、今考えてみたらあれじゃ物足りなかったな。

　マリアとは焚き火を挟んで向かい合うようにして座ってたんだけど、立ち上がって移動してそっと隣に座ったんだ。

　それもあの映画にあったシーンだから、マリアはおかしいと思わなかった。

　映画だったらこのあと、2人は顔を向かい合わせてそっと唇を重ねて、恋に落ちて……。って感じだったけど、これは映画じゃない。

　マリアがこっちを向く前に後頭部を思いっきり突き飛ばして、顔面から焚き火に突っ込ませてやった！

　暴れて起き上がろうとするんだけどさ、すぐに背中を全体重かけるくらいの勢いで踏んづけて起き上がれないようにして、頭をじっくり焼いたんだ。

　喉が焼け潰れたのか悲鳴とかは聞けなかったけど、狂ったみたいに手足をバタつかせて、ビクビク痙攣してたのは最高だった。

　髪の焦げるあの変な匂いと、ステーキ肉焼いてるときみたいな匂いが混ざってさ、煙ももうもうと出て、何から何まで本当に、強烈で、忘れられない貴重な体験になったよ。

　あぁ、本当。今思い出しただけでも興奮してくる。

　あ、そうだ。死体は谷、というか穴みたいになってるとこに適当に投げ捨てたんだけどさ、2ヶ月くらい前の新聞で見つかったっての見たときビックリしたよ。

　もうボロボロの白骨になるまで誰も気づかなかったなんてさ。驚き。

　あ、刑事さんも知ってた？

　そうそう、それも俺なんだよ。

　……俺がやったってまだ分かってないやつもまだあるんだっけ？ ここで初めて話してるのがほとんどか。

　あー、まぁいいか。

　それじゃあ、まさかまさかの俺が犯人だった4人目の話をしよっかなぁ。

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