ヒトゴロシは語る

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着けた瞬間、一気に上半身が燃え上がってさ、辺りがパッと明るくなった。

　その時は明かりを消していたから暗かったし、みんなケーキの方を見てたから何が起こったのか分からなかっただろうな。

　へへへ、それで、へへ、それでさ、思った通り、ジョーダンはさ、元気に走り回り始めたんだよ！

　まだ子供だからどうしたらいいか分からない、冷静になれない。

　周りの大人も何が起こったのかまだ理解できていない。

　燃えたまんまで同じくあったかそうな服着たやつとか、テーブルクロスとか、カーテンとかにぶつかってさ、火が広がっていくんだよ。

　誰かが明かりをつけてはっきり見えるようになって、やっとどうにかしなきゃと思ったときにはもう遅い。

　また別のやつの服が燃えて、ぶつかって、火はどんどんと大きくなっていった。

　さっきまであんなに笑い声とかで溢れてたパーティー会場は一瞬で阿鼻叫喚の地獄みたいになっちまったよ。

　ジョーダンがずっと騒いで走り回ってるから、ジョーダンの火を消そうとしても逃げられるし、それ以外のやつも物も燃えてるしで、大惨事。

　俺はさっさと部屋から逃げ出してたから何ともなかった……いや、違うな。手の甲をちょっと火傷したんだった。幸い跡は残らなかったけど。

　火ってさ思っているよりも早く広がっていくんだな。10分経たない内に部屋が真っ赤になっちゃってさ、煙もすごくて窓から見れなくなっちゃったんだよ。

　最後にぎりぎり見えたのが燃える部屋の真ん中で倒れてるジョーダンだった。

　で、早い内に逃げてた俺とか、あと何人かはほとんど無傷だったんだけど、服とか燃えてたやつは火傷が酷かったな。溶けた服が張り付いてえらいことになったやつもいた。

　でも、幸か不幸か死んだのはジョーダンだけだった。

　皆ロウソクの火が引火したんだって思ったおかげで、俺は全く疑われなかったよ。

　へへへ。

　でも本当に良かったよ。燃えながら走ってくあのジョーダンの姿！

　いつかのマリアを思い出しちゃって、ドキドキしちゃった。

　そうだ、パーティー会場だった家は全焼したんだけどさ、ライターのちっちゃい火であんなんになるんだって思ってさぁ。

　それから火の扱いには気をつけるようになったね。

　寝煙草はやめたし、ガスの元栓はしっかり閉めるようになったし、火の近くには燃えやすいもの絶対置かなくなったし。

　楽しかったと同時にいい教訓にもなったしで、最高のパーティーだったよ。

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