烈火 17 ページ43
「しまった……」
レフトは体勢を立て直すことができずそのままゆらりと倒れ、低い柵を超えて海へと落下した。
俺もそれを追いかけて海へと飛び込む。
海の中は真っ黒で冷たい海水が目に染みたが、レフトの頭の明かりのおかげでその位置が分かった。
明かりはどんどんと沈んでいき、弱くなっていく。
どうやら泳げないようだった。
これはチャンス。
手を伸ばし集中する。見えない手で掴み引き寄せると、明かりはすぐ目の前まで来た。
抵抗する様子はなく、完全に動けなくなっている。
明かりより下、おそらく心臓がある場所へ目掛けてナイフを刺す。
ビクリ、とレフトは体を大きく震わせた。それと同時に明かりは消え、また別の光が海中を漂うように現れた。
やったのか?
……やれた。やったんだ。
光へ手を伸ばし捕まえ、急いで口に運ぶ。
海水と一緒に体内に入ったそれは間違いなくレフトの、悪魔の魂だった。
人間の魂を取り込んだときと比じゃない程の力が溢れ、体に染み渡っていくのが分かる。
……これが。
突然お腹のあたりに何かがぬるりとまとわりつくような感触があったと思った次の瞬間、強い力で引っ張られ海から引き揚げられた。
地面に体がつくと同時にまとわりついていたものは消え、目の前にはモノクロが立っていた。
あ、なんかこれ、前にもあったような気がする。
少女の姿が消えているのに気がつく。まぁ何となく予想はできるから何も言わないでおく。
「気分はどうだい?」
いやらしい笑みを浮かべながらモノクロが言う。
「いい気分。かな?」
そう答えると、急に目の前に鏡が突き出された。
「順位。見てみろよ」
鏡で反転していて少々見づらかったが順位は間違いなく、620位まで上がっていた。
一気に順位が上がったことに驚きと喜びが混ざった感情が湧いてくる。
「すげぇ……」
少し前の自分では不可能だったであろう順位に思わず言葉が漏れた。
「生き残るにはまだまだだけどな」
現実に引き戻すようなモノクロの声にハッとする。
「はぁ、まぁ、そうだけどさ……」
するとモノクロが手をこちらに突き出した。
「え、何?」
「俺の服、返せ」
「あ」
海水を吸い込み重く、ビショビショになった上着を脱いで手渡すと、モノクロはそれを自分の影の中に放り込んだ。
「急ごう。派手にやりすぎた、悪魔狩りが来る」
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時