烈火 16 ページ42
少し走って、丁度十字の通路に差し掛かったとき目の前にレフトが飛び出してきた。
「うわっ！」
驚く俺に向かって突き出された拳を食らう直前でなんとかかわし、また走り出す。
そうか、分かった。近道をしたんだ。
コンテナによって細く入り組んだ通路が作られているこの場所は、目的の場所へ向かうのに何パターンも道順がある。
レフトはその中でも、最短のルートを見つけて俺の先回りをしたんだ。しかもどこにあの少女が隠れているか知っているだろうし、そこに向かうルートもわかっているはず。
もう一度後ろを確認すると、レフトが走って追いかけてきていた。
「待て、逃げる気か！」
レフトが叫ぶ。
明らかにこっちのほうが早いのに、脇道にそれる様子はない。
もしかして今俺が通ってるのが最短ルートってやつ？ だとしたらラッキーだ。
このまま上手いこと最短ルートで行って、レフトよりも先に辿り着かなければ。また目くらましのようなことをされて逃げられると厄介だから。
波の音がすぐそこまで近付いている。
いた。
コンテナの通路から抜けた先、左手側には頼りない低い柵と真っ黒な海が、反対側はコンクリートで出来た小さな建物があり、完全に行き止まりになっているその場所。
そこにあの少女はいた。
しかし何かが、何かがおかしい。少女は逃げるわけでもなにかするわけでもなくただ棒立ちでいる。
「アリアお嬢様！」
ほとんど絶叫に近いレフトの声が背後から響いた。
追いついたか。
少女に向かって走る。取り押さえて、こう、いい感じにする。
まだ具体的なことは思いついていなかったが、少女さえ確保できれば何とかなる。
すぐ近くまで来てやっとそれに気がつく。少女は血まみれで黒い糸に吊られて無理矢理立たされていることに。
かなりひどい傷で死の直前といった様子だった。
その足元にはうごめく黒い影……。
どういう目的かは分からないがモノクロの仕業だ。
「レフト……。たす、け……」
うつろな目がこちらを見た。
「お嬢様、そんな……」
後ろを振り返れば、レフトは瀕死の少女に釘付けになっている。
今だ。今しかない。
真正面からレフトに向かっていき思いっきりナイフを振るうと、無理やり体をねじってかわしたレフトはバランスを崩した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (
レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！更新頑張って下さい！ (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー！ (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ！(？)どうも！はじめまして！読ませて頂きましたが、すんごく面白いです！頑張って下さい！応援してます！ (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました！！ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：衛生兵079 | 作成日時：2020年11月2日 14時
