契約 2 ページ4
あ、ヤバイ。
こいつはうちの姉ちゃんよりも強いっていうのが、嫌でもわかる。
雰囲気というか気配的なものがもう明らかに強いです! って感じで、うちの自慢の姉ちゃんでも瞬殺されそう。
よく見ればそいつの右手首につけられたタグには007と書いてある。
007ってことは、7位? 1桁台の奴?
どうやら想定していたよりも強い悪魔を呼び出してしまったらしい。想定では30位くらいの強さのはずだったのに。
それでも、自分よりはるかに強いということに変わりはないけど。
ワンチャン魔方陣に押し込んだら戻っていったりしないだろうか。いや、その前に殺されるか。
どうしよう。とりあえずお願いをするべきだろうか?
「おい、聞いてるのか? 何だよ、呼び出しといて無視するつもりか?」
少し不機嫌そうにそいつが言う。
まずい。機嫌を損ねてはいけない。
自分が召喚した悪魔に食われた人間の魔術師がいたと聞いたことがある。とりあえず何か、何か言わなくちゃ。
相手を怒らせないようなこと……。
「あっ、おはようございますぅ! ほ、ほ本日はとても、あのぉ、よいお天気でぇ」
焦りすぎて今まで出したことのないとても情けない声が出た。
「聞こえてるじゃねえか。どうやらその耳は飾りじゃないみたいだなぁ」
そう言った後、一瞬何か考えてるような顔をしたと思えば、俺に一歩近づき、左耳につけているタグをぐいと引っ張った。
「……お前、人間じゃないな」
かなり強い力で引っ張られて、耳が千切れそうになる。とにかくめっちゃ痛い。
「痛っ! 痛い、痛いです!」
「ははは、そうか、痛いか。それじゃあそのまま動くなよ」
痛がる俺を見てそいつは楽しそうにしている。
抵抗しようとしたが、なぜか体を動かすことができなかった。
そうこうしていると、そいつの頭の後ろからテレビに繋ぐようなコードが3本伸びてきて、調べるように体のあちこちに絡み付いたり、つついたりし始めた。
その間もタグを強く引っ張ったりいじったりしていたが、コードが体から離れるのと同時に手を離してくれた。
「タグ、本物みたいだな。力が感じられないから人間がふざけたコスプレでもしてるのかと思った。その角や尻尾も飾りじゃないようだし、……お前悪魔か」
「えっと、その……」
「しかし悪魔が悪魔を呼び出すなんて聞いたことない、しかも自分より強い奴を。何だ、イカれてんのか? それとも死にたがりか何かか?」
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時