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烈火 2 ページ28

「あなたも嫌い!」

 そう叫んで、少女は楽器ケースを執事に投げつけどこかへと走って行ってしまった。

 少女は走りづらそうな服装だというのに、意外にも早く、狭い道を曲がっていってあっという間に姿が見えなくなってしまった。

 楽器ケースを落とさないように受け止めた執事は、しばらくポカンとしていたがハッと我に帰り少女が走っていった方へと小走りで向かっていった。

「アリア様! アリアお嬢様!」

 やがて執事の姿も見えなくなり、何となくあの子にしようかと思っていたのに見失ってしまったから、他の人間を探そうとした時、誰かが後ろから自分に声をかけた。

「あのぅ、そこのお兄さん」

 声の方を見ると、背が低くて髪を腰の辺りまで伸ばした白い肌の、顔の整った女の人が困ったような笑顔で立っていた。

 女の人はレースのついた白い服と黒いスカートをはいていて、食材の詰まった紙袋を腕に抱えていた。買い物帰りだろうか。

「え? 俺?」

「私、道に迷っちゃってぇ……。ほら、その、この辺に来るの初めてなんです。駅までってどうやって行ったらいいですかぁ?」

「あ、駅? 駅はね、あのね……」

 よし来た。

 上手いこと誘い出して、この人間の魂を貰おう。

 そう思って、どうしようか色々考える。

 やっぱりここは、駅に連れていくふりをして人気のない場所に……。

「あぁ、じゃあ俺が駅まで連れていくよ。ほら、この辺結構初めてじゃ迷っちゃうからさ、だから……」

 そこまで言いかけて言葉が詰まった。

 ふと見た女の人はあの困ったような笑顔から真顔になっていて、こちらを鋭く睨みつけていた。

 そしてこの1ヶ月、よく聞いた声で喋り始める。

「お前、まだ見分けられないのか?」

「あ、あー、はは……、モノクロ」

「気付かないで人気のない所に連れていっていたら、殺されていたのはお前の方だぞ」

「いやー、全くその通りです。はい」

「それにだ、あれを見てみろ」

 そう言ってモノクロが指差した方を見ると100メートルくらい行ったところに、ここからでも分かりやすい駅があった。

「何がこの辺結構初めてじゃ迷っちゃうだ、すぐそこじゃねぇか」

「はぁ……」

「で、この1ヶ月の目標まであと一人だが、どうするんだ?」

 モノクロの方を見る。

「ああ、その、今いい感じの人間探してるとこなんだ」

 そう言うとモノクロは俺から視線を外し、スタスタと歩き始めた。

「そうか、じゃあ頑張れよ。俺は先に帰る」

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- ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時

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