実践 7 ページ15
「あ、えっと、追いかけよう、モノクロ」
「そうだな。じゃあ行くか」
残っていたコーヒーの最後の一口を飲み干してからモノクロが立ち上がる。
それに続いて俺も立ち上がり、少女の方を見るとちょうど会計を終え、店を出ていくところだった。
そのまま少女について店を出ようとした時、店員がモノクロに声をかけた。
「あ、あの、お客様、まだお支払が……」
「何言ってるんだ? ちゃんと払ったろ?」
お金を払ってないのに、平然と言う。
「いや、でも……」
「ちゃんと支払った。そうだろ?」
そう言ってモノクロは店員の目を見た。
「ですが……、あ」
モノクロと目を合わせた瞬間、店員の目から光が消え、焦点が合っていないような感じになる。
「はい。そうでしたね。申し訳ありません。ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
急に店員の態度が変わり、機械的な抑揚のない声でそう言うとフラフラとした足取りで店の奥へ歩いていってしまった。
「すげぇ……」
小さく声が漏れた。
流石、力のある悪魔だ。こういうことを簡単にやってしまう。
「さっさと行くぞ、あの女を見失わない内に」
くるりとこちらを向き、何事もなかったようにモノクロは言った。
「あぁ、うん。そうだね、とりあえず追いかけないと」
そうして俺達は店を出て、少女の後を追いかけた。
一人になったところを襲おう、そんな安易な考えでいた。
しばらく後を追いかけていたが、少女は人通りが多い公園のベンチに座り、そこから動かなくなった。
その様子を俺達は少し離れた場所、丁度木の影になっていて少女側からは見えない場所にあるベンチに座り見ていた。
「座ったぞ、で、お前はどうする」
「あー、そうだね。どうしよう……」
「考えなしに追いかけたのか?」
「いや、一人になったところを、こう、ね。殺ればいいかなぁー、って思ったんだけど、なかなか一人にならなくて……」
少女はどうやら誰かを待っているようで、しきりに携帯を開き時間を確認しては、きょろきょろと辺りを見回していた。
「誰か、待ってるのかな?」
「恐らく。よかったな、最低でも二人は食えるぞ」
「でも、こういうのって人気のない場所で殺した方がいいんでしょ?」
「あぁ、その方がいい」
「ねぇ、お兄さん達。私と遊ばない?」
急に声がして、声の方を見るとそこには追っていた少女と同じ制服を着たショートヘアの少女が立っていた。
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時