あぁ、神様 3 ページ8
二人並んで、白く長い廊下を歩く。
ご飯を食べるところは、3階にあるらしい。
普通の病院では、決まった時間に食事が出されるはずなのだが、決まった時間に出されて食べるより、自分達で自由な時間に食べれる方がいいから、という理由でこの病院では食堂があるそうだ。
病室を出てから、喋ることもなく何となく気まずい。話すことは苦手だが、こういう無言はもっと苦手だ。
「あの……、アリス、さん」
思いきって話しかけてみる。心臓が少しばくばくする。自分から話しかけるということは少ない。だからか余計緊張してしまう。
「アリスでいいわよ。それで、なぁに?」
彼女はどこか嬉しそうに答えた。
「ここの病室って、あまり……、物を置かないんですか?」
「ん? そんなことないわよ。……あぁ、貴女の病室がすっからかんなのは、ジャックのせいよ。あの子がベッド以外使わないからって……」
「えっと、ジャック、さんって私と同じ病室の人、ですよね?」
「えぇ、それであってるわよ。あの子、ちょっと自分勝手なとこあるから、他人のこと考えるの苦手みたいだし。他の病室には基本的に病室らしいものが置いてあるわよ。あとはその病室の人それぞれね」
「はぁ、そう、ですか」
「あ、ほら。ここが食堂よ。ここでご飯をを食べるの」
話しているうちに食堂に着いたようだ。
食堂は広くて、結構な人数が座れそうな長いテーブルと椅子が並んでいた。美味しそうな香りに満ちていて、余計にお腹が空いてくる。
奥は厨房になっているようで、そこからより強く美味しそうな香りが漂う。
「何か食べたいものはある?」
「え、あ……、何でもいいです」
「そう、じゃあ適当に座って待ってて」
「わかりました」
アリスさんは、厨房の方に誰かの名前を呼びながら入っていった。私は適当に空いている席に座り、アリスさんを待つことにした。
しばらくして、アリスさんが料理を運んできてくれた。それは、トーストに目玉焼きなどのシンプルな朝食らしいメニューだった。
まともな朝食は久しぶりだ。最近はろくに食べていなかった。だからかもしれないが、それはとても美味しく感じた。
272人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
闇の花 - イラスト方も全部見せてもらいました!!イラストも本編も両方神です!!キャラクターに恋して見に来たらもっと萌えました♡ (2021年10月31日 21時) (レス) id: c41fddad3f (このIDを非表示/違反報告)
玄米 - これを読むために占いツクール開いています!全部ではないですがほぼ読みました。面白かったです!ここまで読んだのはこの作品が初めてです。 (2021年1月5日 19時) (レス) id: 7e3b04a730 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - ジャックがすごい好きです!!面白くて一気読みしました。その後、もう一度じっくり読むと、「やっぱおもしろい……!」ってなります。神作品!!! (2020年12月23日 21時) (レス) id: 70c8834e49 (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - 201号室の二人がなぜかカップルに見えてしまってあああああああってなった (2020年1月5日 0時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
空百合@募集企画運営のため低浮上(プロフ) - 続編移行ですね……!これからどんな患者たちが出てくるのか、患者たちの病気は治療されるのか、気になることがまだまだたくさんあります…… (2018年6月10日 7時) (レス) id: 3dba0349b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:衛生兵079 | 作成日時:2017年10月8日 17時