死にたがり少女 vs 最強教師

17 . 少女とこころ ページ17

……何故私は、先生に抱き締められているのでしょうか。




『……あの、五条先生…？』


｢……｣




話しかけても何も言わず、ただ腕の力を強めるだけ。


……これはもしかして、怒ってらっしゃる…？？




『…ごめんなさい、沢山迷惑をかけて……。
あとで治療してくれた家入先生にもお詫びしに行きます』



任務で報告にはなかった未登録の特級呪霊に襲われ大怪我を負った私。

うん、あそこで五条先生が来てくれなかったら確実に死んでたなぁ。



｢……怒ってないよ｣



漸く口を開いた先生は抱き締めていた腕を解いて、私と向き合う。

蒼い瞳が優しく微笑んだ。



｢だって、生きることを諦めないでいてくれたでしょ？

なによりこうしてちゃんと生きてるんだし、
それだけでいいよ｣



ふわりと頭を撫でられる。

……こんな先生の表情なんて知らなくて、何だかむず痒い。



｢………A｣



肩を掴まれ、自然と目線が逸らせなくなる。

いつになく真剣な顔の先生は、ゆっくりと口を開いた。




｢…キミが死にたい理由も過去も、僕は何も知らない。

それらは別に話さなくてもいい。

死にたいって思っていてもいい。口にしてもいい。


けど、これからは辛いとか寂しいとか助けてとかは
ちゃんと言って欲しい。


僕はキミを救いたい。


だからキミには救われる準備をしていて欲しいんだ｣





｢何も知らない、他人の僕がどうこう言う権利は無いのは分かってる。


それでも、僕はAに死なないで欲しい｣





｢死んで欲しくない。死んだら嫌だ。


僕はAに、生きていて欲しい｣





｢ただ、生きているだけでいいから｣








___A、生きて___









息が詰まって、涙が零れた。




そう、私は、その言葉が欲しかった。





生きてていいと、認めて笑って欲しいだけだったんだ。







｢Aは…僕の、大切な、大切な人なんだから、




キミは絶対に僕が死なせない。









＿＿＿＿僕と一緒に、生きて欲しい｣









死にたいんじゃない、









ただ、生きたかっただけなんだ。









『五条、先生』








『わたし、生きたい……生きていたい……ッ、！！』









息も出来ない程生きづらいこの世界から

逃げることばかり考えていた人生だったけれど、






今日からは、少しは前を向いて生きていけるかな。









本日の勝敗__神坂の負け ?

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