死にたがり少女 vs 最強教師

16 . 教師と救い ページ16

その少女は、いつも寂しそうな瞳をしていた。




｢あれ、Aはー？｣



｢あ、先生。それが、いつも授業終わるとひとりでどっか行っちゃうんだよー｣


｢気付いたらすぐ居なくなるんだから、あの子｣


｢……あいつ、いつも自分からひとりになろうとしてる気がします｣




誰とも関わろうとせず、いつもひとり。


それはまるで何かから逃げるように、自分を守るように。


それでも最初はただ周りより少し大人しいだけで、人見知りなのだとそう軽く思っていた。




｢ちょ、A？！何してんのさ、！｣




しかし、ひとり陰で静かに死のうとしている光景を見つけた時、それは甘い考えだったと痛感させられた。


慌てて止めるも少女の瞳には光なんて無くて、
僕はこの子を見れていなかったのだと深く反省した。


何故死にたいのかも、何が辛くて何に悩んでいるのかも、過去も、何も知らない。


けれど、この世界で生きるには
きっと少女はあまりにも綺麗すぎたんだ。





『死にたいと思うことって
そんなにいけないことですかねー』





僕は、キミの意志を否定することは出来ないし、するつもりもない。

だってそうしたら、キミ自身を否定することになってしまうから。



……でも、





｢(キミには、生きていて欲しいんだ)｣





言っていることがめちゃくちゃだと呆れられてしまったけど、それが僕の心の全て。





いくら死にたいと吐き出しても良いし、
いくら死のうとしても良い。



全部、僕が受け入れて、必ず助けるから。





だから、









｢＿＿＿＿A、！！！｣









辛いのなら、泣きたいのなら


その手を伸ばして心の内を明かして欲しい。





僕が救えるのは、他人に救われる準備がある奴だけだから。









だから、









死にたくないのなら、生きていたいのなら、









ちゃんと助けを求めて欲しい。









『ごじょ、せん、せ……







＿＿＿＿＿しにたく、ない……っ』









．









｢大丈夫｣









｢Aは絶対に、僕が死なせないよ｣

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