15 . 少女と世界 ページ15
この世において、「死」という言葉はタブーらしい。
「あーアイツマジ殺してぇ」
「もう終わった〜死にたーい」
「あの上司死なないかなぁ」
「いやお前死ねよ(笑)」
「ほんと死んで欲しい」
日常に溶け込んだ「死」という言葉の価値は時間が経つほど薄くなっていって、誰もがそれを口にしているはずなのに
『……もう、死にたいの、』
「そんな事言わないで!相談乗るよ!」
「何?病んでんの?」
「軽々しく死にたいなんて口にしたらいけませんっ」
「貴方って子は産んでくれた親に対して申し訳ないとか思わないのかしら」
「そんな馬鹿なこと言ってないで勉強しなさい」
それをひとたび言葉にすれば、
白い目で見られるのだ。
ああ、この世は本当に息辛い。
.
『死にたいと思うことって
そんなにいけないことですかねー』
「さぁね。その人にはその人なりの事情があるだろうし、一概には言えないよ」
空を眺めていた先生は
青空を流し込んだかの様な瞳でそう言った。
「死にたいと思うのも死のうとするのも、
他人に口出しする権利はないんだよ」
『…でも先生はいつも邪魔してくるじゃないですか』
「だって、Aには死んで欲しくないからね」
これはただの僕のエゴさ。
そう笑う先生の横顔は少し寂しそうだった。
『言ってることがめちゃくちゃですよ』
「そこが人間の面白いとこだよね〜」
『はぁ…』
「__だからさ、絶対生きて帰ってきてね」
『わかってますよ。
じゃあ、行ってきます』
ああ、そういえば
任務の前に先生とこんな約束したなぁ。
ごめんなさい、先生。
約束破っちゃうかも、これ。
「ジ……ネ、ジネシ ネシネ………!!」
『ッ、!』
流石にこれは敵いそうにない。
『(……あー、ここまでかぁ)』
そう思ったところでハッとする。
『(やっと、死ねるじゃん)』
そうだ。私は今までずっと死にたくて死にたくて仕方なかったじゃないか。
何で今更生きながらえようとか思ってんの。
丁度いい機会。合法的な死に方。
ここで死ねるなら万々歳。
ずっと、望んでたことじゃないか。
__A
__僕はAが死んだら嫌だよ
『(………でも、)』
____絶対生きて帰ってきてね
貴方の言葉だけは、確かに居心地が良かった。
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万歩計 - 18話という少ない話の中でこんなにも満足感のある物語を読んだのは初めてです…!!人物の心情ともに移り変わりがすごい好きです。ありがとうございます!!!!! (8月28日 0時) (レス) @page20 id: ea7e9fe52a (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 主人公ちゃんは死にたいわけではなかったんですね。なんだか0巻の乙骨くんと少し似ている気がします。主人公ちゃんに、生きてていいって認めてくれる人がいて良かったです!!素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました!!! (2022年1月15日 18時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
あきなっちゃん - どうしましょ、これの続編見たいんですけど!暇があったらでいいんで続編書いていただけますでしょうか? 無理なお願いですが、お願いします!! (2021年3月21日 16時) (レス) id: a918e7945d (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - 無責任な事は言えませんが、しかし少なくとも私は今、のんちゃんさんがわざわざこうしてコメントをしてくれて心の底から嬉しく感じています。この先素敵な事があるのを楽しみにとりあえず生きてみるのはどうでしょう?貴方に沢山の幸せが訪れますように。 (2021年3月20日 19時) (レス) id: c3ae7dd961 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - かおりんさん» コメントありがとうございます!番外編書こうかな〜なんて思っている所なので、もし時間があれば見に来てやって下さい!最後まで読んで頂き本当にありがとうございました!!! (2021年3月20日 19時) (レス) id: c3ae7dd961 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやこ | 作成日時:2021年3月7日 16時