[SLAM DUNK]短編小説 (ページ6)

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バスケ馬鹿[流+三] ページ6

「三井サン、流川、熱心に二人で居残り練習も良いけど、明日のためにも無理しないで下さいよ!
特に三井サン!アンタは体力ないし、受験もあるんだからほどほどに!」

本格的に受験生となった赤木、木暮がバスケ部を卒業し、その受験生の中でたった一人三井がバスケ部に残っているこの状況。正直、三年生二人がいなくなった分の穴は大きくそこから三井まで抜けただけでかなり厳しくなる。だからこそ無理をして体調を崩し部活を休まれても困るし受験に影響が出て一番困るのは三井である。宮城はその事を毎度毎度口煩く言い戸締りを頼んでから帰っていく。

「へいへい。…ったく、あの野郎。お袋かっつーの」
「先輩」
「あ?」
「先輩の番っすよ」
「おう、じゃあいくぜ」

ここんとこ毎日の様に流川と遅くまで残って1on1をしている。
他の者からすれば二人ともそんなに仲良かったか?という目を向けるだろう。
あと少ししか此処にいられない三井。毎日の様に二人で残っている理由はそれだ。
一日一日が惜し気もなく過ぎていく中、三井とバスケが出来る時間もなくなっていく。

一分、一秒も無駄にしたくない。此処にいる間は。

何十分か、休むことなく二人の間でボールのやり取りが続き、ついに体力を消耗しきった三井は床に大の字になって倒れこむ。遠慮なく体を預けたから後頭部を打ったがそれすらも気にならない。

「………」

荒い呼吸を繰り返し胸を上下させながらただぼうっと天井を見詰めていると、不意に額にひやっとした物が当たる。横目で隣を見るとタオルで自身の汗を拭き取りながら三井の額にスポーツドリンクを押し付けて座っている流川がいた。ふ、と笑い素直に「サンキュ」と言ってそれを受け取り暫く額に当てたままにしている。

流川は相変わらず無口で何も言わないが、最低限の気遣いはしてくれるし何より全てをバスケで語ってくれる。
流川と何度も1on1をやってきた三井には分かる。

「…なあ、流川」
「なんすか」
「俺等、ほんとバスケ馬鹿だよな」
「馬鹿なのは先輩っすよ」
「ああ?」

俺等はお互いに同じくらい…。どうしようもなくバスケを愛してるって。