[SLAM DUNK]短編小説 (ページ5)

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どんな顔したって優しく笑ってやるから[花→晴→流+桜木軍団] ページ5

特別晴れているわけでもなくそれでも曇っているわけでもなく、寒くもなければ暑くもない、
要は大して体温調節を考える事なく過ごせる気候であった。そんな中街の喫茶店の前で妙に浮いている赤頭が見える。
微かに頬を赤くしながら周囲を見回し何やらソワソワしている。それを避けて通る人々。

「桜木君…!ごめん、待った?」
「おおお晴子さん!いえいえいえいえいえ、全然待ってなんかいませんよ!さっき来たばかりなんで!」
「そう、良かった…!」

天使の様に微笑む晴子に花道は鼻の下を伸ばしきって何故か照れた様に笑う。
そんなこそばゆい光景を眺めている水戸、大楠、野間、高宮は花道のデレっぷりをクスクスと笑っている。

「お、花道と晴子ちゃん喫茶店に入っていったぞ」
「よし、俺達も行くか」

喫茶店に入っていく二人を指差して言う高宮に皆が頷くと水戸を先頭にこっそりと喫茶店へ入っていく。

「いやー、まさか晴子さんがデー……食事のお誘いを受けてくれるなんて感激ですよ!」
「まあ、桜木君ったら、大袈裟ね」
「ははははは、そうっすかねえ?へへへ…」

喫茶店に入り注文を済ませた後も桜木はデレデレしっぱなしで、しかし端から見ると良い感じに見える二人を遠くの席から眺める桜木集団。桜木と晴子を見てどこか嬉しそうにニヤニヤと笑う四人だが、「花道の奴、なんかドジ踏まねえかな」等とふざけた事を口々に言う。

すると水戸は何か晴子の様子が可笑しい事に気がついた。晴子は桜木の話にきちんと相槌を打っているが、どこか別の方向に視線がいっていた。その視線の先を辿って窓の外を見ると、流川が歩いていた。桜木はそれに気付いていない。

「…おい、そろそろ行くぞ」

水戸は静かに席を立ち、会計へと向かった。

「はあ?洋平、どうしたってんだよ」
「…いいから、早く」

大楠達はどうすたんだという様に首を傾げながらも黙って水戸についていく。
水戸は会計を済ませると再度桜木達の方を振り返る。

晴子ちゃんの気持ちは未だ変わらない。花道がいくら晴子ちゃんが好きでも、晴子ちゃんは流川が好きだ。
けれど晴子ちゃんは花道をまだそういう対象として見ていないだけで、全く気にしていないわけじゃない。此処からだぜ、花道。

「頑張れよ、花道」

失恋記録が伸びたら伸びたで、俺達が優しく思い切り笑ってやるよ。
゛余計なお世話だ!!゛そう花道の声が返ってきた気がして、俺は喉の奥で笑った。