[SLAM DUNK]短編小説 (ページ1)

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俺だけを見て[リョ→彩+三] ページ1

ある日の放課後、湘北の体育館からはいつもの様にバスケットボールとバッシュの音が響いてくる。
また試合が近くなってきたのでバスケ部は他の部活動より熱が入っているらしい。
そして特に赤木や木暮、他にも彩子は選手の怪我に酷く敏感になっている時期だ。

不意に彩子の鋭い声が響く。

「三井先輩!!」

ディフェンスをしていたら勢いあまった花道に弾き飛ばされたらしく、その場に座り込んだまま左膝を押さえている三井であったが、特に怪我をした訳ではない。しかし彩子は形相を変えて救急箱を片手に三井の元に駆け寄る。

「大丈夫ですか?」
「み、ミッチー…!すまん…」
「気にすんなって。怪我なんてしてねーよ」

熱心に練習に取り組んでいた部員達も何事かと三井の方を見る。

「でも…!何かあったら…」
「いや、ほんとに平気だ」

三井はスタメンで、欠けてはならない存在だ。その上で彩子は念のために三井の左膝に触れた。
それは自然な流れだ。彩子は三井の過去にも怪我をした事のある左足を心配しているだけだ。

その瞬間だ。
電光石火の如く宮城が二人の間に割って入り、優しく包み込むように彩子の手をとった。

「アヤちゃん!三井サンなら大丈夫だよ!ていうか三井サンの事なら俺に任せて、ね」
「え?…じゃあ、リョータ。お願いね」

優しく甘い声とは裏腹に実際、宮城の目は血走っていた。
彩子はそれに何か異様なものを感じて静かに頷くと二人の元を離れ、それを合図に他の部員達はまた練習を始める。

「…三井サン、どういう事すか!」
「はぁ?お前がどういう事だよ!」
「だってアンタ、彩子さんに診てもらいたいがために左膝押さえてたんでしょう?!」
「お前どういう思考回路持ちあわせてりゃそういう考えに辿り着くんだよ?!」

勘違いした宮城は喧嘩腰で三井に突っ込むが案の定、宮城の行動の訳が分からない三井も喧嘩腰だ。
その様子を心配そうに見る彩子に気付いた宮城はハッとすると、三井の左膝を診る素振りだけを見せると「はい、問題ないっすね!」と笑顔で左膝をﾋﾞｼｯと叩いた。

「ってぇｯ…な!!何すんだ宮城!」
「ふん、分かったら俺のアヤちゃんに手ぇ出さないでください」

さっきので気が済んだのか宮城は睨み付けてくる三井に手を差し出し立たせると、彩子の方を見て優しく微笑んだ。