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ハザードランプはまだ点滅している。
「……なんてね！……すいません、ありがとうございました」
シートベルトを外して車から降りようとすれば、紫耀くんの手が私の腕を掴む。
何度目かも分からないこのドキドキを、私はいつまで引きずるのだろうか。
「……どっか行く？」
「……え？」
「もうちょっと遠回りしよっか」
「いいの？」
「お前こそ、ママ大丈夫なのかよ」
「なんとかする」
「ん、じゃあシートベルト」
「……はい」
再び走り出した車。 胸の高鳴りが抑えられない。どこへ向かうのか分からないまま、ただ身を預けた。
" 遅くなるからご飯いらない "
ママにはそれだけ伝えて携帯の電源を落とした。隣を見れば、片手でハンドルを握る紫耀くん。もう片方の腕はアームレストに。筋肉質な力強い左腕に光る高そうな腕時計は、また私を寂しくさせた。
「どこ行くの？」
「んー、決まってない」
「……なんかワガママ言ってごめん」
「いいよ、俺のせいだし」
「……え？」
" 俺のせい " ってなに？私が困らせてること？………それとも勘違いさせたこと？
「遅くまで勉強許したの俺だから気にすんな」
「……うん」
なんだ、そのことか。 ……全然違うのに。私はただ紫耀くんとずっと一緒にいたいんだよ。
私からすれば一世一代のキスだったのに、紫耀くんにとっては、なんともないんだね。
私の本気はいつもいつも伝わらない。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年8月10日 17時
