Dear my teacher【 sh × kt 】 (ページ28)

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▽ sh ページ28

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「……失礼します」
「おう、終わった？」
「はい、鍵置いておきます」
「……待って」

２０時前。戸締り担当の俺以外は誰もいない職員室。帰ろうとする葉山を呼び止めれば立ち止まる足。そっと振り返る葉山の目が泳いだ。

「髙橋と勉強じゃなかったの？」
「………」
「１人で帰ろうとしてんの？」
「………」
「葉山、」
「私、考えました、将来のこと」
「え？」

無言で領くだけの葉山が言葉を発した。

" 紫耀くんと結婚する "

" Please marry me. "

浮かんではいけない言葉たちが脳内を占める。

「先生みたいな、誰からも好かれる大人になりたい」
「……なんで」
「だって私、紫耀くんのこと好きだもん」

汚れを知らない綺麗すぎるその瞳に俺の心はいつだって奪われる。何度も取り戻そうとした自制心を平気で掻っ攫っていくなんてね。いつも通り、冗談かと思わせるその屈託のない笑顔に引き込まれ、俺はもう君から抜け出せる術を見失ったよ。

「勘違いしていいならするよ」
「……え、」
「紫耀くんが言ったんだよ」
「……あれは、」
「なかったことにするなら責任取ってください」

ドラマのワンシーンのように、何歩か近付いてくる葉山の手がネクタイに掛かる。

「好きです」

触れた唇は俺たちを離れなくさせた。

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