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張りぼての建前が
ポロポロ、ポロポロ。
音もなく、積み上がった残骸の上に残ったのは
騙し疲れて、泣き顔の。恋心。
息もせず、止まった時間。
「……………玉砕なんてやめてね。」
「すっきりしたいなんて、自分勝手な感情ぶつけないでよ。」
「その自分勝手は、俺らをボロボロにするんだよ。」
「自分は全部投げ出して、こっち側に丸投げで、その傷口を一つ一つ、直すのに。」
「どれだけ時間が掛かって。」
「どれだけ心を削るのか。」
「いい思い出まで、全部ないことにして。思い出せない頃が出来上がって。そこを埋めるためにまた傷ついて。」
「そのせいで、どれだけの大切な人が泣いて、俺らはどれだけ温かい手を離したと思う？」
「もう、ヤメテ。」
闇から抜けたとき、悪魔は泣いていた。
声すらあげられなくなって。
いつも見せるからかう隙間もなく。
彼らの心情を図るなんて、おこがましいと思った。
それでも痛いほど、伝わってくる。
彼らの誰かが傷つくたび、その刺さった棘を溶かすために
何度も何度も何度も、目から感傷を流して。
すべてがなくなった時に、包んでくれた存在が
どれだけ大切か。もう一生出会えないかもしれない。
そんな大切な人と大切な人を周りは引きはがそうとする。
涙すら枯れて、声はとうに枯れて。それでも、必死に
大切な物を守ろうと。
櫻井さんはいつの間にかいなくなっていた。
でも、何も出なかった。
どれだけも醜い、同情の涙すら出なかった。
13：8
＞大丈夫？
13：8
＞椎名さん？
＿＿＿＿＿２日後
一日休んだはずなのに鏡で見た顔はひどかった。
普段通りの顔なはずだが、影はいまだに濃厚で隠れてはくれない。
いつもの個室の前へ来ていた。
そして、ここへ来るのも今日が最後だろう。
左手をあげてノックを
「椎名さん！」
「あぁ、長岡さん。」
「まだ、顔色優れませんよ？大丈夫なのですか？」
やはり無理だったか。
自らのメイクの技術を呪う。
「大丈夫ですよ、立ち話もあれですし……。」
出来る限り平常を装って、ドアを引いた。
痛い。
長岡さんの心配そうな視線の中に生まれている別の疑念が
刺さりそうで、痛い。
早く、終わらせよう。
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作者名：DJ×MJスタッフ一同
x他1人 | 作者ホームページ：.
作成日時：2014年8月30日 0時
