嫌いでもいいよ。【mfmf】 (ページ10)

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帰ってきて、玄関で靴を脱いでいると
パタパタと兄さんが走ってきた。

「Aっ、よかった、遅いから心配した......」

ふわっと笑う兄さん。
いつも通り。だけど
その笑顔、他の人に見せたらいいのに。

兄さんは人と話すのが苦手だ。
苦手というか、積極的じゃない。

僕にはしょっちゅう話しかけるくせに
なんで他の人にはしないんだろう。

......まあ僕から話しかけることが希少だから
話しかけないといけないなぁみたいな
変な使命感に駆られているのかもしれない。

それか、他の人とは違って
僕は当たり障りの無い、必要最低限のことしか
伝えないからかもしれない。

兄さんは傷つくことを恐れている節がある。

......そらるさんとか、天月さんとかに
もっとこうやって笑えばいいのに。

「？どうかしたの」

ボーッとしている僕の顔を
兄さんが覗き込む。

なんでもない、という風に首を振る。

僕が部屋に向かうと、
兄さんはリビングに入った。

部屋で私服に着替えて、
制服をハンガーにかけて
僕もリビングへ行った。

「！あ、るーざ、今日ね、そらるさんが僕の家くるから......」

リビングに来たのが以外だったのか、
兄さんは少し意外そうな顔をした。

そらるさんかー......。
兄さんのユニット仲間。

家が近いこともあって、僕も
最近は結構喋るようになった人。

「なにするの？」とLIMEで送る。
兄さんはそれを見てすぐ、

まふまふスマプラ放送! Aもしよ?

と返信が来た。

いや、兄さんは喋ればいいじゃん......？

「いていいの？」と送る。

兄さんが画面を見る。
ほんの少し目を見開いた後、
ガバッと僕の方を見た。

「良いに決まってるでしょっ！？」

今度は口で答えた。

......なんで怒られたんだ？
少し拗ねた顔の兄さん。
ええ......意味わかんない......。

Aそらるさんは僕いていーの?
まふまふもう許可もらってる!
Aじゃあしたい
まふまふもちろん!!!

秒速で返信が来た。元から打ってたのか？

そらるさんとゲームすると
僕が負けるまで続くからなぁ。
酷い時は深夜とかまで。

まあ負けてやんないけど。

両方負けず嫌いなのだ。
兄さんは悔しがるけど諦めるタイプ。

.....そういえば咲も
やりたいって言ってたな。
あれいつやるんだろう。