嫌いでもいいよ。【mfmf】 (ページ11)

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ピンポーン、とインターフォンが鳴る。

そらるさんかな、と思い、
玄関に行って靴を履き、
ドアノブに手をかける。

兄さんシャワー浴びてるし、
僕が出るしかない。

がちゃ、と扉を開ける。
その瞬間、外にいた人に手を引かれた。

「よっ」

多分、声が出てたら「え」と言っていた。
そらるさんじゃなくて、咲だった。

手帳を持っていなかったから、
とりあえず首を傾げた。

「んー、癒されにきた？的な？」

はぁ？何の冗談だよ。と思い
咲を見ると、怪我をしていた。

額から血が流れていて、
ニット帽が赤黒く染まっていた。

サーッと血の気が引いた。
事故後から血を見るのが苦手、
というか、怪我を見るのが苦手だ。

そういえば、学校行く時会って
今から喧嘩的なこと言ってた。

「いってて......」

痛そうに頭を抑える咲。
ハッと我に返り、家に招き入れた。

こういうことは結構ある。
ていうか、
喧嘩した後は殆ど毎回僕の元へ来る。

なんで来るの、と聞くと、
心配してくれるから、と返された。

なんだそれ、と思ったけど
結構真剣な顔で言われちゃったから
僕は何も言えなくなった。

兄さんにはLIMEで

A今日無理になった。咲と部屋にいるから

と送った。

咲がこうしてやって来るようになってから、
僕の部屋には救急箱が備え付けてある。

ガーゼに消毒液を染み込ませ、
咲のニット帽を取り、
固まり始めた血と傷口を
出来る限り優しく拭いた。

咲の袖を捲ると、痣がたくさんある。
赤くなっていたり、青くなっていたり。
酷い時は黄色っぽくなっていたこともあった。

前回のがまだ治っていない箇所もある。

「いたい？」と手帳に書いて見せる。
「平気。ありがとな」と微笑まれる。

一通り手当てを終えて、
ニット帽と咲の服を持って洗面所に向かった。

咲は僕の服を貸して着替えさせ、
部屋で休むように言っておいた。

ざぶざぶと血を洗い流す。
良かった、結構落ちやすい。

綺麗になったのを確認して、
水を絞り上げて、タオルを持って
部屋に戻った。

リビングを通った時、
そらるさんと兄さんの声が聞こえた。
放送始まったのかな。

咲は僕のベッドに寝転がり、
すやすやと寝息を立てていた。

なんて自由なんだ......。