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『坂田さん。もう一つ、依頼してもいいですか?』
頼んでばかりで申し訳ないが、坂田さんにも頼みたいのだ
『おう、なんだ?』
『そーちゃ……お兄ちゃんのこと、宜しくお願いします』
失敗……なんて考えたくないが、もし私が居なくなった後、独りぼっちになってしまう彼の助けになって欲しい
近藤さんも土方さんもいるから大丈夫だと思うけど、もっとできるだけたくさんの人が傍にいてくれたら……
それに、坂田さんなら、きっと大丈夫。
『呼び方、変えたのか』
『ええ……。私が呼ぶには、ちょっと子供っぽかったのかもしれません』
俯き、せせら笑う私の肩に手を置き、坂田さんに顔を上げさせられる
ゆっくりとそれに従えば、彼の双眸が真っ直ぐに私を映していた
『そんなことねェと思うけどな。呼び方なんて、好きなモンでいいんだよ
サド皇子だったり総一郎君だったり……お前の好きなように呼べばいい』
『……それもそうですね』
坂田さんの言うことは私の胸に鉛のようにずしりとのしかかる。そーちゃん、って呼ぶのを私は気に入っていたが、それを彼が嫌がるのなら呼ばない方がいいと思ったのだ
次に手に取り口に運んだものは一つの飴玉で、そのレモンのような酸っぱい気持ちはどこか懐かしい気もする
『坂田さん、本当にありがとうございました』
『おう』
『治ったら、団子、食べに行きましょうね』
「その時は、私がご馳走します」そう言った私に、彼は嬉しそうに口元を緩めた
『そりゃありがてェな』
じゃあな、と手をひらひらと振りながら病室を出ていく後ろ姿を私はしばらく眺める
頼り甲斐のあるその背中に、釘付けになってしまった
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桜月(プロフ) - 分かりました。楽しみに待ってます! (2017年6月7日 22時) (レス) id: 1574d4bc36 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 桜月さん» まだこちらの前作が書き終わってないので続篇のパスワードを教えても構いませんが話しは繋がらないと思います! ゆっくりではありますが書き直している最中なのでもう少し待って下さい (2017年6月7日 21時) (レス) id: 7ed4437fff (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 続きのパスワードってなんですか?読めなくて・・・ (2017年6月5日 22時) (レス) id: 1574d4bc36 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ドS娘さん» プロ!? 私のこの文章力でプロとはちゃんちゃら可笑しな話ですよ 笑 ですが、褒めていただきありがとうございます( ´ ▽ ` ) 占ツクの広告で見ました! 一緒に映っている高杉がとってもカッコいいです。 (2017年5月29日 22時) (レス) id: 4d3c1ca5cd (このIDを非表示/違反報告)
ドS娘 - 凄いですね!プロですか?!あっそういえば銀魂のイメージパーカー出たの知ってます? (2017年5月29日 16時) (レス) id: 8d85534e35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2015年10月4日 18時