拝啓××様 4【銀魂】

隊長命令 ページ33

嗚咽を漏らし、しゃくり上げながら泣く私に隊長は「泣くな」と言った。

それでも私は涙を止められなくて、溢れ出るこのやり場のない想いにどうしたら良いのか分からなくて…そして、このままで良い訳ないのは私が一番分かっているから、取るべき選択肢は一つしかなく、それがもう目の前にある事に酷く焦燥を覚える。


「泣くなって言ってんでィ！！」
「…っ！！」


ガッと隊長が私の肩を掴む。涙に濡れた双眸で隊長を見上げれば、怒っているようで…怒気を隠さぬその目に射抜かれるように私は口をつぐんだ。けれど、頬を伝うそれは止まる事を知らない。


「…辛気臭ェ面ばっかしやがってィ。見てるこっちが痛ェや」


気持ちが腕に、そして手に伝わるのか。肩を掴む力が強くなって、ギリッと軋む。私は肩を揺らしながら「…っ……うぅ…」としゃくり上げる、顔はもうとても見せられる様な状態ではなく、ぐしゃぐしゃだった。

涙と鼻水で汚れた顔に隊長の着物の袖が触れる。ゆっくりと拭われ、着物に水が染みていくのが分かった。一瞬、目を閉じて。そして再び目を開ければ真っ直ぐに私を見据える隊長が居た。


「てめェに…涙は似合わねェだろィ」


旦那だってそんな顔見たくねェよ、隊長はそう言って袖を引いた。隊長の目に映る私、本当に酷い顔だ。真っ赤に充血した目が不安気に揺れている。馬鹿みたいに情けない表情だった。


「今度、俺の前で泣いてみろィ。ただじゃ置かねェ、絶対ェ…許さねェ。二度と泣くんじゃねェ、弱音なんか吐くんじゃねェ」


強くなる語気、私は何も言えずただ真っ直ぐに隊長を見つめた。どんなに辛い事を言っても、どこまでも隊長の声音は優しい。それが全て私の為に言っている事だから。


「この命令を破りやがったら…」


"隊長命令"

それは、絶対に破ってはいけない命令。
私は久方ぶりに隊長命令を言い渡された。


「俺が、てめェを奪ってやらァ」

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