拝啓××様 4【銀魂】

やり方は違えど ページ34

諦めるなんてAらしくない、絶対に諦めて欲しくない。それが例え俺のエゴでしかなくとも。

Aが旦那に惚れているのは誰が見ても明らかだった。隊士だって皆が皆、冷やかし応援するほどだった。

Aは優しい奴だ。だれも傷付けたくない、傷付いて欲しくない。その気持ちが誰よりも強いタイプなのだ。だから簡単に土方の手を払う事は出来ない。

土方はAに惚れている訳じゃない。ただAには幸せになって欲しい、その気持ちが強いのだ。この5年ずっと傍らで旦那を待ち続けるAを見ていたから尚更だろう。

そして俺は土方みたいに優しくはない。5年間ずっと待ち続けているAに「もう、良いよ」と言えるような優しさなんて持っていない。だが、Aに幸せになって貰いたい気持ちは同じだ。

もし土方の手を取ってもAは幸せにはなれない。まだアイツの心の中には旦那が居る、それはそう簡単には消えない。書き続ける一方的な手紙も、手放さなず持ち歩く簪も、その証だ。

だから絶対に土方にはAを渡さない。それは土方もAも幸せにはなれないから、だから俺は絶対に認めない。

俺は…Aが旦那と幸せになる姿が見たいんだ。だから、もし諦めるだなんて言うのなら…俺がAを奪ってやる。


「それが嫌なら泣くんじゃねェ、諦めるんじゃねェ」


俺は土方みたいに優しくはないんだ。俺は俺のやり方でAを幸せにする。こうやって逃げ道を奪って、絶対に諦めさせない。これが俺がAに出来る唯一だ。


「最後まで諦めんな、てめェの得意技じゃねーか」


馬鹿みたいに真面目で要領の悪い女。誰より優しくて温かい女。ずっと見てきたんだ、幸せそうに笑う姿も、苦しむ姿も。そんなお前が旦那を信じなくて誰が信じるんだ。


「旦那を信じやがれ」





___俺はAを信じてる。

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