拝啓××様 4【銀魂】

懐古の情念 ページ4

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「近藤さんと桂さんの生還を祝しまして！かんぱーい！！」
「「「かんぱーい！！！」」」


夜、局長と桂さんの奪還を祝って宴会が催された。真ん中に帰ってきた二人、そこに私達が取り囲んで皆が皆楽しそうにお酒を酌み交わす。


「いや〜でも、今回の件に関してはAちゃんに頭が上がらないよ」


山崎さんがそう言って私に目を向ける。山崎さんはこの5年で髪が昔よりも短髪になった。優しい彼の言葉は相変わらずである。


「いえ…私は大した事してませんし」
「何言ってんでィ、Aが向こうのバケモンとパイプ持ってやがったから計画が成功したんでィ。素直に受け取っとけィ」


隊長がそう言ってお酒を仰ぐ、私は「成功したのは良かったです」と隣で同じようにお酒に口を付けた。あの頃より5年、23歳となった私も最初の頃は美味しさが分からなかったが、お酒の味にはもう慣れていた。

今回の局長と桂さんの奪還作戦、元々は敵対していた私達真選組と攘夷派である彼らとが協力体制を組んだのは互いの利害が一致した事であった。

それに関して以前から桂派であるエリザベスさんとの繋がりがあった私が、皆に怒られるのを承知で紹介に進み出たのだ。局長を取り戻したいのは私達も山々だったから、この際桂さんがセットでも良いだろう、と。

実際、桂派の人達の実力に申し分は無かった。だから最初は無謀とも思えた奪還作戦も現実味を帯びる事が出来たし、局長のいなくなった真選組を廃した事も…今この状況だと良かったと思うしかない。

本当は皆だって真選組を無くしたくはなかった、けれど幕府に怪しまれずこの作戦を遂行するには仕方が無かった。それでも私達の心の中に真選組は息づいているのだから。

形として無くなっても志は消えない。その点に関しては桂派も同じだったらしい。敵と混じえても守りたい物があったのだ。

私はお酒の入ったコップが空になると襖を開けて外へと出た。少し風にあたりたかった、何となく久しぶりに見た局長の姿が懐かしくて思い出してしまったのだ。


(銀さん…)


5年前、銀さんは急に姿を消してしまった。本当にいつも通り過ぎるぐらいの「また、明日」を最後に残して、居なくなってしまった。

最初の1週間は誰も心配しなかった。どうせいつもみたいに何処かで飲み歩いているんだろう、どうせまた変な事に首を突っ込んでいるのだろう。誰もがそう信じて疑わなかった。

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