拝啓××様 4【銀魂】

強くなった二人 ページ15

「そう言えばこの前____…」


不意に隊長は思い出した様に口を開いて「万事屋んトコの眼鏡見た」とこぼした。いい加減名前で呼んであげて欲しいのだが十中八九これは新八くんの事だろう。私は「そうですか」と沈んだ声で返す。


「元気でしたか？新八くんは」
「めちゃくちゃ尖ってやがった」
「私が聞きたいのはそういう事では無くて…」


目まぐるしく変わっていった5年間。一番変わってしまったのは他でもない万事屋だろう。

新八くんと神楽ちゃん、二人の間に亀裂が生じたのは2年前のあのお墓騒動の時であった。新八くんと別れた後、私は屯所に戻って神楽ちゃんに事の成り行きを説明した。

当時はまだ神楽ちゃんも今より子供だった。だから新八くんが銀さんのお墓を建てた事に例えどんな理由があれ許す事は出来なかったんだと思う。




「新八は…冷たいヨ」

「神楽ちゃん、これは銀さんの想いを継ぐ事なんだ。僕にしか…出来ない事だから」

「どういう意味アルか、ソレ。私には無理だって言いたいアルか！？」

「そういう意味じゃないけど…でも、神楽ちゃん。君は割り切れないじゃない」

「…もういいアル！！お前みたいな冷たい奴に私の気持ちは分からないヨ！！万事屋は…万事屋は絶対に新八には譲らない！！！」

「僕だって神楽ちゃんみたいな分からず屋に万事屋は譲らないよ…！！銀さんの後を継ぐのは僕なんだから！！！」




万事屋が大切な気持ちは新八くんも神楽ちゃんも同じだった。ただ、その想いが強過ぎて…すれ違ってしまうのだ。あれから二人はずっとすれ違っている。

万事屋の、銀さんの意思を継ぐのは自分だ。互いの主張で万事屋はバラバラになった。万事屋を守りたい、銀さんを継ぎたい、気持ちは同じはずなのに皮肉にも現実は上手くいかない物だ。

それから二人が変わってしまうまでは然程時間は掛からなかった。神楽ちゃんは標準語で話す様になり、新八くんも敬語で話さなくなった。

服装も変わって、新八くんは銀さんの使っていた木刀で戦う様になった。昔よりも…ずっと、ずっと強くなった。二人は一人で立っていられるぐらい、強くなった。


(私は…どうだろう)


銃の腕は上がった、髪も昔よりずっと伸びた。変わった物は沢山ある。けれど、一人で立っていられる程強くなっただろうか。

私はどこに行っても銀さんの面影を辿ってしまう、探してしまう。万事屋に居ても、町に居ても銀さんを探してしまう。私は…弱いままだ。

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