アシスト惨敗 ページ35
再び隊長は背中に『誘い文句?』と書いた。私は無言で頷いてアイコンタクトを取る。
(人任せは反則かも知れませんが…)
勇気も無ければ男の人を誘う方法も持ち合わせてなんかいない。ここは頼もしい男性に頼るのが得策だと私は思った。…思ったのだけれど。
隊長は俺に任せろと言わんばかりの自信ありげな表情で銀さんに向き直った。こんな顔をされれば誰だって信じるだろう、勿論のこと私だって心の中で「隊長お願いします…!」と期待を込めて言った。
その期待はいともあっさりと打ち砕かれるのだが。
「旦那」
「何だよ」
「ちょっくらコイツ連れて適当なホテルにでも行って来て下せェ。Aの事なら好きにしてくれて構わねェんで」
「何言ってるんですか隊長!!??」
すごい一仕事終えた感のある隊長の顔である。いや、そんな顔したって何一つ有益な事してないですよ隊長。普段の私ならまともに言えたかも知れない。けれど今はそんな落ち着いていられる訳がなく。
バックバクの心臓を押さえて隊長を掴んで「何考えてるんですか!!」と小声で聞けば「だから誘い文句だろうが」と。やっぱり何一つ分かっていない、完全に履き違えている。
「誘うってその誘うじゃありません!完全に誘い違いですよ!?」
「あ"ぁ?こちとら状況分かってねーんでィ。アシストして欲しけりゃ詳しく説明しろィ」
「常識の範疇で物事を言って下さい!」
確かに私もデートの誘い文句と言わなかったから通じなかった部分に関しては非があるかも知れない。だけどいくら何でもこれは酷い、これではとんだ痴女である。
「これじゃあ好感度だだ下がりですよ…!」
「人任せにした罰だと思うんだねィ。今度からはテメェの足りねェ脳みそフル稼働で考えろィ」
「うぅ…」
もっともなご意見である。
私は頭を抱えてその場にうずくまると「何かすいませんでした…」と力なく呟いた。隊長は「別に?」と言って頭の後ろで手を組む。
そんな私達のやりとりを外側から見ていた銀さんは「お前ら仲良いのな」と何から判断したのか分からない台詞をこぼす。その真理は下を向く私には銀さんの表情が窺えず分からなかった。
だけど、
「…成る程ねィ」
隊長の何かに納得した様な愉しげな声が頭に降る。そして、
「悪ィなA」
「へ?」
何故か謝る隊長の声が続けざまに聞こえ、
___ドスッ
「_____ッ…!?」
顔を上げようとした私の脳天に稲妻の様な衝撃が走り、そこで私の意識は途絶えた。
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lying doll(プロフ) - 佳菜子さん» お久しぶりです(`°ω°´)そんなそんな!勿体無いお褒めのお言葉光栄な限りです!これからもちょくちょく頑張っていくのでよろしくお願い申し上げます( ´ ▽ ` )ノ (2017年1月8日 14時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
佳菜子 - doIIさんお久しぶりです!続編おめでとうございます(*´∀`*) 文章などがとても綺麗で思わずこの物語に引き込まれてしまいます(*^^*) これからも無理しない程度に頑張ってください! (2017年1月8日 11時) (レス) id: 9f42f2c5eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年1月4日 13時