すれ違い、突き進み ページ22
「ちょっと待って下せェ土方さん」
一体何を、と隊長は信じられないといった面持ちで副長を見るが…副長は何か文句でも、と腕を組む。
「文句もクソもねェでさァ。刀もロクに使えねェど素人がいきなり銃って…レベルアップもせずにラスボス倒しに行く馬鹿と同じぐらい無謀じゃねェですかィ?」
「無謀じゃねーだろ。やってみりゃ意外と才能あるかもしれねェぞ」
「寝言は寝て言って下せェ」
これ以上聞いてられるか、と言わんばかりに隊長は私の腕を掴むと部屋を出ようと立たせた。しかし、私は…隊長の顔を見上げて「ちょっと待って下さい」と止める。
「…副長は、本気で私が銃を使えると思っているんですか?」
「A…テメェまで何言ってやがる。土方さんの言ってる事を真に受けてんじゃねーよ」
隊長はこう言うけれど…もし私に本当に銃を使う素質があるのなら。それならば…使いたいと思う。このままずっと守られっぱなしなのは私にとっても、皆にとっても…絶対に良いとは言えない。
私は…皆の荷物にだけはなりたくない。
「まぁ…素質があるかは分かんねーけど。敵との距離があっても使えるからな。刀よりお前に向いてるとは思うぞ?」
副長はそう言って懐からタバコを取り出すと煙をふかし、私の目を見据える。確かに…副長の言っている事も一理あると思った。
「土方さん、アンタも分かってやすよね?刀より銃の方がよっぽど危険な事、それを分かっててコイツにやらせやすか?」
「元々危険と隣り合わせの仕事だろーが。兄貴気取りでコイツに過保護になり過ぎんのは止めろ、総悟。守りてェなら少しは信頼を覚えやがれ」
「土方テメェこの野郎…!!」
副長の言葉に煽られ、今にも殴りかかりそうな隊長を私は引っ張って「失礼しました!」と早急にそこから隊長を連れ出す。この話はこれ以上続けても埒が明かないだろう。
副長の部屋を後にして私は隊長の腕を引きながらもズンズンと無言で廊下を突き進む。背後では不満そうに「俺の話はまだ終わってねェ離しやがれ」と隊長が怒気をたっぷり含んで言うが今だけは無視をして歩みを止めない。
やがて私は縁側までやって来ると、そこでようやく隊長の腕から手を離した。ふぅ…と一呼吸置けば隊長が私の体の向きを変えて否が応でも目が合う形となった。
「どういうつもりでィ」
「だって…喧嘩になると思いました」
「そうじゃねェ。テメェ…本気で銃を使うつもりかって聞いてんでィ」
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lying doll(プロフ) - 佳菜子さん» お久しぶりです(`°ω°´)そんなそんな!勿体無いお褒めのお言葉光栄な限りです!これからもちょくちょく頑張っていくのでよろしくお願い申し上げます( ´ ▽ ` )ノ (2017年1月8日 14時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
佳菜子 - doIIさんお久しぶりです!続編おめでとうございます(*´∀`*) 文章などがとても綺麗で思わずこの物語に引き込まれてしまいます(*^^*) これからも無理しない程度に頑張ってください! (2017年1月8日 11時) (レス) id: 9f42f2c5eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作者ホームページ:http://twitter.com/hearty__smile
作成日時:2017年1月4日 13時