泡沫の記憶Ⅲ (ページ10)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:71,317 hit

ヒーロー名ページ10

休みが終わり、次の日。

「わあ！稲妻のおねえちゃんだ！」

「あら～生で見ると可愛らしいわね！！」

「見てたよ体育祭！根性あるねえ」

「期待してっぞー！」

「ファンになりましたっ！」

『……………』

朝、通学路を歩いていると、次から次へと声を掛けられる。

終いには女子からお手紙を渡されることも。

それに軽く会釈をして答えるが、さすが雄英体育祭。

まさか、こんなにも注目されるなんて思ってもいなかった。

　

『………….…………おはよ』

「Aちゃんおはよ！すっごい間だね」

「なんか、ゲッソリしてねーか？」

教室に着くと、皆ワイワイと盛り上がっていた。

どうやら皆も、来る途中そんな感じだったらしい。

あんなに楽しそうに話せるなんて凄いな。
もしかしたら……もしかしなくても、自分はメディア向きじゃない。

静かに過ごしたい…

「たった1日で一気に注目の的になっちまったよ、やっぱ雄英すげえな…」

そう、誰かが言うのと同時にチャイムが鳴る。

おはようと、と言って相澤先生が入ってきた。

「相澤先生、包帯取れたのね。良かったわ」

「ばあさんの処置が大ゲサなんだよ。
んなもんより、今日の"ヒーロー基礎学"ちょっと特別だぞ」

先生がそう言うと、ピリッとする教室。

「(ヒーロー関連の法律やら…只でさえ苦手なのに…)」

「(特別！？小テストか！？やめてくれよ～～…)」

「コードネーム、ヒーロー名の考案だ」

「「「「胸膨らむヤツきたあああああ！！！」」」」

一瞬で、ワッと盛り上がった。

「というのも、先日話した"プロからのドラフト指名"に関係してくる」

ザワ…と相澤先生が個性を発動させると、

シーン！と瞬時に静まる教室。

……私たちはよく教育されている。

指名が本格化するのは2.3年生。

今回来た指名は将来に対する興味に近いという。

そして、その興味が卒業までに削がれたら、一方的にキャンセルもあるのだとか。

「で、その指名の集計結果がこうだ」

黒板に、A組の指名件数が記される。

「例年はもっとバラけるんだが、3人に注目が偏った」

そこには轟君が4,123、私が3,824、そして爆豪君が3,556と記されていた。