あの日手放したものをもう一度【ブルーロック】 (ページ45)

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今まさに凪が最後の１点をもぎ取ろうとした瞬間

＂久遠渉レッドカード！！退場！！＂

なんと、今まで傍観していた久遠がファウル覚悟で止めたのだ。

しかもそれは悪質な反則行為とみなされ一発退場ものの……

「久遠お前…何やって……！？」

「これでまだ戦えるだろ、チームZ(おまえら)……」

試合終了まで、あと59秒の場面で起きたその出来事に

Aは＂ああ、ここにもいたか＂と思う。

この試合に、触発された人間が。

黙って見ていれば、得点王としてランキング上位の久遠は1人勝ち抜けが確定していた。

得点数が國神と並んだ今、そのファウルは完全に命取りだ。

それでも動かずにはいられなかった。

きっと、なんだかんだ言って久遠の中で譲れないものがあったんだろう。

『ちゃんと行動できるなんて凄いじゃん』

ゴミだと思ってたが、ちょっとは見直した。

最終的に身を呈してチームZをピンチから救ったのだ。

残りは後半A.T3分_________

チームVでは残り時間をどう守るかの議論が交わされている。

そう、時間さえ稼げば負けずにこのまま終わることもできるのだが……………

「は？何言ってんだお前ら………」

それをさせないのが、玲王である。

「＂潰す＂一択だ」

「こんな奴らと引き分けとか……負けと同じだろ」

「うん。あと１点……あと１点……」

「こなままで終われねぇのはチームV(おれたち)も同じだ」

＂絶対に負けたく無い＂

その思いが3人からよく伝わって、見ているAも嬉しくなる。

玲王や凪、斬鉄のような存在がいるからこの試合は面白い。

勝ち進めればいいと、それだけじゃない彼らがいるからこそ本気のぶつかり合いがある。

『…………頑張れ、皆』

どうしても時間は止められない。

でもずっとこの試合を見ていたいと、そんな欲が生まれる。

チームV FK キッカーは御影玲王。

_________Aは青い監獄(ここ)に自分の夢を託しに来ている。

自分ではもうできないサッカーを、最高の景色を諦めたくなくて_________

玲王が蹴ったボールは一直線にゴールへと向かう。

だがそれは、見事伊右衛門に弾かれた。