あの日手放したものをもう一度【ブルーロック】 (ページ43)

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__________50m 5秒77

長距離疾走の追い比べ………

「(＂最速力(トップスピード)＂なら俺の方が速い！！)」

斬鉄を追い抜き

そして千切がゴールを決めた。

『これで並んだ』

ついに3-3、同点だ。

ますます試合の行方がわからなくなってきた。

久遠を除いた10人で走り続けるチームZが、どんどん覚醒し進化していく。

強者に立ち向かうこと_________それに大きな意味があるのだ。

「な……何やってんだよチームV！？本気出せバカ！！
10人相手に負けるとか恥ずかしくねーのかよぉ！！？
タコぉ！！！」

黙って見ていたはずの久遠が焦ったように叫ぶ。

それにピクリとAの眉間に皺がよる。

「『黙ってろゴミが………』」

ハモった。

恐ろしい形相で久遠を睨む玲王と

思ったより低い声が出たA

側にいた成早が「ひッ」と肩を震わせた。

…………いやだからお前じゃ無い。

次にボールを持ったのは玲王だ。

だが雷市のマンマークと潔のポジショニングにより、はじめて焦りを見せる………

その時

「玲王……」

現状を瞬時に理解した凪が走り出していた。

「玲王、俺やってみる」

「凪……？」

初めて、凪が自分から動き出した__________

『！』

どの試合にも無かった、予想外の凪の動き。

それに驚きつつも、期待を込めてその行く先を見つめる。

_________面白い事になってきた。

きっと生まれてしまったのだ。

凪誠士郎という天才に

＂俺を試したい＂という

＂好奇心＂という名の衝動が_________

覚醒した凪のシュートが決まる。

それは間違いなく、これから先の本人にとって意味のある１点であり、

チームZにしてみれば重い１点になった。

「ねぇ玲王」

めんどくさいとって思ってた人間が、想像を超えて進化していく様を見せつけられた。

覚醒するのは、チームZだけじゃない。

「サッカーって面白いんだね」

良くも悪くも、その代償は大きい。

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