あの日手放したものをもう一度【ブルーロック】 (ページ38)

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「A、いつのまに玲王くんたちと仲良くなったの？」

『全然仲良くないよ』

「ふうん？」

なんとなく面白くなさそうに言う結を見て、内心焦る。

『(あれ、もしかして？)』

そう言う事？

と、謎の勘が冴え渡る。

特段そういうのに敏感な訳ではないが、なんとなく頭をよぎったその考えに妙に納得してしまった。

『結、私応援するよ』

「えっ？なにが？？」

驚いた顔で首を傾げる結に、"あれ？＂と思ったAも同じように首を傾げた。

．

そしてついに両選手たちがポジションにつく。

ピッ、とカウントダウンが0になった瞬間チームVのキックオフで試合が始まった。

開始早々に斬鉄から凪に向けられたパスを五十嵐がカット。

すぐにチームZのカウンターで我牙丸がヘディングシュートを打つが惜しくも外れてしまう。

「凄え！！面白ぇ！！おい凪、今のやるぞ！」

「えーめんどくさーい」

それを見て嬉しそうに顔を輝かせる玲王と通常運転の凪。

この二人の掛け合いは何度も見てきた。

すぐに玲王がボールを蹴り上げれば

縦回転のボールは低い弾道を描き

それを凪がジャンピングトラップ

そしてシュートを決めた。

「簡単じゃん、なんでこんなの外すかなぁ」

『……さすが、天才』

何度見ても面白い。

総合的に能力の高い玲王と、天才的なトラップ・シュート力を持つ凪の連携。

普段はあんなんだがやる時はやる。

そんな二人の試合を見るのがAは好きだった。

その後続け様に凪が得点し2-0

更に畳み掛けるように斬鉄が決めて、あっという間に3-0

それは、圧倒的実力差。

3人の突出した才能に誰も手も足も出ない。

ちらりとチームZを見渡せば、その現実に打ちひしがれている。

『(……潔くんもここで終わりかな？)』

肩で息をしながら、悔しそうにグッと歯を噛み締める潔を見て

ス…とAの中で何かが冷める。

期待外れだったか。

『これで終わりか、チームZ？』

無敗のチームVを前に、選手たちは戦意喪失し、絶望する………………

_________と、ここまでは今までにも見た事のある光景だ。