31 ページ33
「あれ、お人形さんじゃん」
「あ？ほんとだ」
「誰だ？」
『凪くんの移動方法はそれがデフォですか』
片手にモップ、片手にバケツを持ったまま通路をウロウロしていると前から3人組が歩いてきた。
よく見ればチームVの……上から凪、玲王、斬鉄だった。
ちなみに凪は玲王におんぶされてるし
斬鉄は玲王に「マネージャーだよバカ」と突っ込まれてる。
「てかその顔どうしたんだよ！？」
『元からだよ失礼な』
「は？……じゃなくて頬だよ、頬！ケガしてんじゃん」
ああ、なんかうるさいのに出くわしてしまった。
そんな風に明後日の方を見ていれば、いつの間にか玲王の背中から降りてきた凪が目の前にいた。
「…………誰にやられたの？」
『事故だよ』
「ふうん？」
めんどくさくて速攻誤魔化したAだが、納得したのかしてないのか、凪の表情からは読み取れない。
『………ッ』
「うーん……打撲？」
凪の手がAの頬を包み込む様に添えられたかと思えば
親指で湿布の上から傷口をなぞられて、鈍い痛みがはしる。
「お前……傷口に泥を塗るタイプか」
「塩な」
『地味に痛い』
「あ、ごめん」
Aが何も言わない事に対して、それ以上深く追求してこない。
意外と相手の意思を汲み取るのが上手いのかもしれない。
「そーいや眼鏡は？」
『………？どこだ？』
玲王がそう聞けば、思い出したように首を傾げるA。
『(あれ、そういえば、無い)』
「Aって意外とバカ？」
「……てか伊達ってこと？なら無くていいじゃん」
「ホラ」と言って、そのまま両手でAの顔を挟んで玲王に向ける。
「キレーな顔してるでしょ？今はアレだけど」
「おー確かに。ちょっとアレだけどな」
「アレってことはアレだな」
『アレって言うな』
斬鉄だけよく分かんないが。
玲王かAの顔を覗き込む様に上体を傾け、ぐいっと顔を近づける。
『(なにコレ、デジャブ……)』
未だ凪に顔を固定されているので、逸らすことが出来ない。
代わりに思いきり顔を顰めた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：noon | 作成日時：2023年4月21日 0時
