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「よし」という声と共にアイシングを頬に当てられ
ひんやりとした温度が気持ちよくて目を瞑る。
そしてしばらく冷やした後、湿布を貼ってくれた。
「とりあえずコレな」
『ほんとごめん。でも自分でやれたのに……』
「こうでもしなきゃお前話してくんねえじゃん」
う、と言葉に詰まれば軽く笑って千切が隣に腰を下ろした。
「……………あのさ」
片膝を立てて壁にもたれながら、遠慮気味に千切が口を開く。
首だけそちらに向けて聞く体勢をとれば、そのまま話し出した。
「もしかして朔夜って……サッカーっつーか、なんかスポーツでもやってたのか？」
あれから色々と考えてそう結論づけたらしい。
色々と考えさせてしまって申し訳ない。
『やってたよ、サッカー』
「やっぱそうなんだな」
『ん。でもね』
そう言ってジャージの裾を捲り上げる。
おもむろに出されたその白い足に、一瞬ピクリとした千切だったが
その肌に似つかわしくない大きな傷跡に眉を寄せた。
『これ』
「………だろうと思った」
悪戯にニッと笑ってみせるAに対して、複雑な表情の千切。
自分の憶測が当たってしまった事に後悔して、無意識にAの足の傷跡に触れる。
『………これが結構複雑で。それで私はもうサッカーできないの』
「そう、なのか……」
『階段から落ちて、それっきり』
「は、階段……！？」
Aもなんでこんなに自分の事を話してるのか不思議だった。
もしかしたら、同じ怪我をした千切にシンパシーを感じていたのかも知れない。
でも、千切と自分は違う。
『生きてる意味がわかんなくなった。
死にたいと思ったら、結が止めてくれた。
だから私はせめて…………私の夢を誰かに託したいと思った』
『この
『私が見たかった、最高の景色を見せて欲しい』
「________それは……俺でもいいんだな？」
『なれるもんなら』
そう言うAはいつも通り挑発的な態度をとる。
「……ったく
そんな顔見たらやるしかねーじゃん」
そう言う千切の表情は生き生きとしてて
ただ、眩しかった。
．
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作者名：noon | 作成日時：2023年4月21日 0時
