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次の日
第七試合の為、いつもより早く準備が終わったAは結と共に試合が行われるフィールドまで向かっていた。
いつもだったら結には先に行っててもらい、なんだかんだ他の仕事をして向かうと、開始ギリギリに着く事が多いAだが
なんだか今日はスッと仕事が終わった。
『……これがアドレナリン効果』
「ん?なんか言った?」
こてん、とAの顔を覗き込む結に軽く首を振る。
なんだかんだ昨日の千切との出来事があってから、あまり寝付けなかった。
でもボーッとするどころか頭はスッキリ冴えている。
すると後ろから「Aみっけ!」という声と共に、伸びてくる腕。
そしてずしりと背中に重みを感じた。
『蜂楽くん………』
「おっと」
勢いに押されてふらついた体。
それを支えるように、腕の力が強まった。
うげ、とあからさまに嫌な顔をしながら振り返れば
すぐそこに蜂蜜色の瞳があり、ばっちりと目が合う。
『……………………』
「初めて名前呼んでくれたね」
『とりあえず______』
「廻くん、ダメだよ〜Aはそういうの苦手なの!」
どいて、と言おうとしたところで隣から結が助け舟を出してくれた。
こういう絶妙なタイミングが、凄く上手い。
「にゃはは、ごめんごめん!」
『ちっとも悪いと思ってないな?』
ごめんとか言いながら腕の力変わって無いですけど。
後ろから抱きつくようにAの頭に顎を乗せながら笑う蜂楽。
「もうっ!」と言いながら結が可愛らしく怒ってくれてる。
なかなか離れない蜂楽を、近くまで来た國神がべりっと引き剥がした。
「やめとけって。そろそろ殺されるぞ」
とか言いながら「顔色悪いけど大丈夫か?」と優しさから声を掛けてくれるが
不機嫌がピークに達したあたりだったので、反射的に睨んでしまった。
一瞬ビクッとした國神を見て、Aはハッと我に返る。
『ごめんなさい相手間違えました』
「あ、ああ……いや、いい」
完全に引いてんじゃん。
「またやっんてんのか、それ」
申し訳なく思っていたらまた違う声。
この様子だとチームZと合流してしまったようだ。
ちなみに声を掛けて来た人物はAが今一番会いたくない人だった。
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作者名:noon | 作成日時:2023年4月21日 0時