1 ページ3
．
「おめでとう��
モニターを通して絵心が言う。
たった今、入寮テストと称した鬼ごっこが終わったのだ。
それをA達マネージャー陣も、絵心の後ろでモニター越しに見ていた。
そんな中一つ気になるチームが。
それは、日本サッカー界の宝と言われるほどの実力を持つ吉良涼介がまさかの失格となった、チームZ。
そしてその吉良を失格に追いやった一人の選手_________
『………潔、世一』
最後の一瞬だけ見せたあの雰囲気に、Aは目を奪われた。
『面白い』と呟けば、隣の結がちらりとこちらを見る。
「え〜？なになに？なんかあった？」
『なんでもない』
前を見れば、絵心が選手達にマネージャーの紹介をしていた。
選手達のサポートは勿論、掃除や洗濯などをする雑用だと。
何かあれば何でも言え、と。
なんとも失礼な。
そして一人ずつ簡単な自己紹介をしろ、とのこと。
「花咲結ですっ。マネージャー業は不慣れですが精一杯頑張りますのでよろしくお願いします！」
いつもの明るい笑顔で結が言えば、画面越しでも選手たちが嬉しそうにしているのがわかる。
そして最後はAの番だ。
『朔夜Aです。よろしく…………してくれなくていいです』
ぶっきらぼうに言えば、先程まで嬉しそうにしていた選手達がざわつく。
……………それで良い。
私がここに来たのは__________________
『代わりに、私に最高の景色を見せてください』
蹴落とし、蹴落とされるこの世界。
必死に足掻く彼らの姿。
その先にある、たった一人の世界一のストライカーの座。
これ程までに、熱い場所は無い。
眼鏡の奥から覗く空色の瞳がすっと細められる。
_________さあ、見せてくれ。
世界一のストライカー。
世界一のエゴイスト。
今までに経験したことのない昂りを。
私の夢を______________
ゆっくりと唇は弧を描き
Aは笑っていた。
．
どうか
私の夢を
叶えてくれる存在に
出会えますように
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：noon | 作成日時：2023年4月21日 0時
