DEAD EMPEROR 【真田弦一郎/男主】 (ページ32)

今日:6 hit、昨日:35 hit、合計:36,909 hit

■３０■ ページ32

.

.

｢……やっぱり気に食わないな、あいつ。｣

Aが閉めていったドアを睨みつけ、幸村は顔をしかめる。

｢軽すぎやしないと思わないかい。さっきの態度。いくら同学年でも……入りたての新人だよ？｣

｢……仕方ないだろう精市。一度認めた入部を取り消すことはできない。｣

｢……すまん。｣

俯いた真田が、二人にそう言った。試合時の、あの弱々しさはとっくに消えていたが、まだ真田がどこかで彼を怖がっていることは、どことなく二人には感じ取ることができた。

｢お前のせいじゃないよ真田。認めたのは俺だ、お前じゃない。｣

｢だが、事の発端を作ったのは俺だ。……俺としたことが。すまない。たるんでいたな……｣

ともかく練習だ、と真田は一人ロッカーへ向かう。何の変化もない真田のその態度が、かえって二人を不安にさせた。

(……弦一郎……)

無理をするな、とは言った。

だがしかし、無理をしていたのではなく、意図的に無理をさせられていたのではないのだろうか。

彼の、雲井Aの手によって。

柳はそんな考えを悶々とさせながら、言葉もなく同じようにロッカーへ向かったのだった。