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蟠り ページ20

【土方さんside】


……数分、だろうか。実際はもっと短い時間だったのかも知れないが、やけにゆっくりに感じたその時間。


「……ずいまぜん、……もう、大丈夫でずがら………」


鼻声になりながら、少し目を充血させて言うA。


(……ったく、何処が“大丈夫”……だ。)


心中でぼそり、呟くものの言葉にならずに、俺の中で静かに消えていくソレ。


「………あァ、構わねェよ、こん位ェ。」


代わりとでもいうように出て来た言葉。そうしてAの背中から離す手。


ソイツの背中から離れた手は、行き場も無く俺の膝に収まる。


隣で、ただじっと、前を見据えている女は、どうにも先程まで俺の隣で泣いていた、などというものを感じさせるものは微塵も無い。


ソイツが纏っている雰囲気が、その表情が、昔、惚れていた女――――沖田ミツバに、無意識のうち、重なっていた。


この前もこのようなことが有り、らしくない、と考えていたのに、これでは過去の自分に示しがつかない。


ごちゃごちゃとした蟠りの様な気持ちを誤魔化す為、投げやりに振った話題。


「……俺は、てっきり、テメェは夏が嫌いだと思ってたがな」

「……見事に外しちゃって、かっこ悪」

「もっぺん言ってみろ、豚箱にぶちこむぞ」

「一緒に居るなら、豚より猫かな」

「そういう問題じゃねェ」


憎まれ口を叩くソイツは、いつもと変わりが無いが、横目で表情を伺うと、やはり、その顔に色や光といった、明るいものは見受けられない。

いつもは好奇心に輝いている目は、ガラス玉を連想させるほど、儚く、まるで焦点が合っていない。


「……お前ェをそこまで縛りつけるモンは、一体なんなんだ」


不躾かもしれないが、その小さい背中に背負っている“何か”を、俺が少しでも持てば、ソイツは苦しさから少しは逃れることが出来るのではないだろうか、そんな考えから口走っていた。



聞いて→←足枷



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暇愛*(プロフ) - 狗冰さん» ごめんなさい、レス押すのを忘れてました…… (2019年7月15日 13時) (レス) id: 6dbb02dd11 (このIDを非表示/違反報告)
暇愛*(プロフ) - ありがとうございます!稚拙な作品ですが、よろしくお願いします! (2019年7月14日 20時) (レス) id: 6dbb02dd11 (このIDを非表示/違反報告)
狗冰(プロフ) - 面白そうです!更新ファイト! (2019年7月14日 19時) (レス) id: aa5a4ed97b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暇愛* | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年6月11日 2時

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