虎の娘《３》 (ページ45)

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慌ててうみを追って楽屋を出ると廊下には荷物を持って集まっているみんなが居た。

七五三掛「ねえ、遅い。30分にはホテル向かうよって言われたよね？」

吉澤「ラブラブなのは良いけど時間は守ってください(笑)」

相変わらず騒がしくて温かいみんなを見て改めてずっとこの場所に居たいと思う。

今回はマネージャーさんの車で向かうからマネージャーさんが居るはずだと思って探すと不意に目が合って気まずそうに逸らされる。

今はまだメンバーなのにやりづらいな、なんて思いながらマネージャーさんの車に乗る。

松田「ちゃかがさ衣装のまま突っ立ってたのおかしいって気付いてたのにな、って言ってたよ」

何となくぼんやりとしていると隣の席になった元太が小さな声でそう言ってくる。

A 「…え？」

松田「Aちゃんの彼氏は海人だし海人のことを頼りたくなる気持ちは分かるけど、アイドルとして支えてきたのはちゃかだからね。ちゃんと頼ってあげてね」

後部座席で寝ている宮近の顔を見ながらそう言う元太。

そう、この本人は何も言ってないのに周りが気付いてさり気なく合わせてあげるトラジャのこの感じ大好き。失いたくない。

A 「…ありがと」

松田「え、何の感謝！？(笑)ほんとにAちゃんヤバいじゃん、何疲れてるの？」

みんな疲れて寝てるんだからちょっとぐらい静かにして欲しいけどこの元太の騒がしさも好きだった。

A 「…私ね、トラジャ好きなの」

松田「なに急にこっわ。もうホテル着いたら早く寝な？」

中村「マジ延々とこの話するんだよ、怖すぎない？(笑)」

マネージャーさんも居る車でこの話を広げられるとどうすれば良いのか分からなくなるけど、うみは平然と話し続ける。

中村「もう今日で会えなくなるのかと思ったもん(笑)」

松田「…え、そうなの！？」

中村「な訳ないじゃん。俺が一生抜けさせない」

多分その言葉は半分マネージャーさんに向けて。

そんなことをしているうちにホテルに着いてその日は元太の言う通りすぐに寝た。