虎の娘《２》 (ページ42)

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ユニットページ42

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あの日以降私とうみは雑誌のペアになることも外ロケが一緒になることもYouTubeで隣の席になることすら無くなった。

楽屋の入り時間すら合わなくなって本当にメンバーの前では喋らなくなったから元太とかこのまま自然消滅するんじゃないかって心配しているみたいだけどそれは無い。

プライベートでは変装しながらになったけどちゃんと遊んでるし毎日連絡も取っている。

何より話せなくなったぐらいで壊れる程度の信頼関係じゃない。

誰も居ない楽屋の隣の席を見ながらそんなことを考える。

松倉「ユニットってこの三人？」

話す人が居ないからぼんやりしていると突然後ろに居たまちゅがそう言った。

最近始動したTravis Japanのダンスチャンネルでは、今はほぼ全員のものしかあがっていないけどいずれユニットでの投稿もしていくと説明された。

昨日マネージャーさんからの連絡でまちゅとしめちゃんと私の三人が初めてのユニット撮影だと聞いている。

A 「そうじゃない？」

松倉「…まとまる？(笑)」

七五三掛「俺がまとめるから大丈夫だよ」

松倉「しめは無理でしょ」

そしてまたいつものふたりの小競り合いが始まる。

単純に沈黙が嫌だっただけなのかいつものノリでしめちゃんと言い合いをしている間のまちゅは楽しそうだった。

A 「…そろそろ時間じゃない？」

今日は打ち合わせだけだから事務所の小さな会議室に集合することになっている。

私の言葉で三人揃って向かう。

中村「…あ、今から仕事？」

A 「うん、今日は多分昼過ぎぐらいまで」

廊下を歩いているとたまたま来たばかりのうみとすれ違ってそんな会話をする。

事務所でうみと話せたの久々かも。嬉しい。

中村「頑張ってね」

A 「ありがと、うみも頑張って」

そしてお互いに手を振り合って何事も無かったかのように歩いていく。

松倉「なんか可哀想になってきちゃうよね」

七五三掛「ね、ふたりは何も悪いことしてないのに」

前でそんな話をしているまちゅとしめちゃん。

私たちのことを言っているのは分かったけど、何も答えなかった。