虎の娘《２》 (ページ23)

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とりあえず隣には来たけどどうすれば良いのか分からない。

ひたすら俯いて黙っていると不意にうみに笑われた。

中村「ほんとに慣れてないんだね、可愛いね」

A 「…何それ」

何がおかしいのか分からないけど、さっきまでの雰囲気が嘘のように笑っているうみ。

みんなの言うことも全部ずっと分からない。

中村「なんかもう返事もどっちでもいいよ、そんな困ると思わなかったごめん(笑)」

A 「でも、うみずっと…」

昨日宮近に相談した時「やっと言ったか」みたいなことを呟いていたのははっきり聞こえた。

今の宮近と元太の表情的にも昨日のうみがノリで言ったわけではないのは恋愛未経験なりに分かっていた。

宮近「…もうちょっと待ってあげなよ」

中村「平気なフリしてるけど俺怖いんだよ、ずっと。こんなに話しにくくなるなら言わなきゃ良かったって思ってる。もう返事とかどっちでもいいからまだ仲良くして欲しい」

誰よりも機嫌の高低差が激しくて怒っているところも何回も見てきたけど、私に対してこんなに無感情に近いのは初めてなんじゃないかというぐらい冷たくそう言った。

A 「でも、私…」

正直気持ちの整理が追いついていないだけでうみの言葉は本当に嬉しかった。

なぜか分からないけどこのまま無かったことにするのは嫌だった。

松田「もうそれが答えじゃんね(笑)今Aちゃんが思ってることそのまま言えばいいんじゃない？」

元太が私の方をまっすぐ見てそう言ってきて、誰を見ても目が合って全然整理は出来ていないけどとりあえず言葉には出してみることにした。

A 「なんか、私ちゃんとうみの言葉は嬉しかったんだよ。全然そんなつもりは無かったけどすごいちゃんと大事にしてくれてるんだって分かって、だから私もちゃんと丁寧に返事したいなって」

自分でもちゃんとまとめられてないから言葉になっているのか分からないけど、みんなが真剣に聞き続けてくれるからそのまま話す。

A 「でも私そんな経験無かったからどうすれば良いのか分からなくて、迷ってたらうみのこと避けてるみたいになっちゃってごめん」

みんなの求めていた言葉なのかは分からないけどこれが今私の思っている全てだった。