虎の娘《２》 (ページ19)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:68,925 hit

. ページ19

・

Miyachika side

正直今日海人とAだけがオフだったのもマネージャーさんが仕組んだんじゃないかというぐらいドッキリからの海人の焦り方は凄かった。

そもそもそんなことが無くても長年の付き合いだから海人がそんな簡単に諦められないことは俺も松倉ももしかするとメンバー全員分かっていた。

だから仕事終わり海人からの謝罪とAからの相談で通知が溢れかえっていてもほとんど驚きはしなかった。

松田「…やっぱり言ったって？」

なんだかんだ元太も諦めきれていないようでAからの相談を読んでいると不安そうにそう聞いてくる。

宮近「でもなんかはっきりとは言ってないっぽい。A付き合う気はないって言われたらしいし」

松田「海人が付き合う気はないって？…なんで？」

宮近「…わかんないけど」

Aは恋愛経験がほぼゼロな割にこんな環境で過ごしていて男慣れだけはしているから、逆に憧れが無いというか夢が無い。

しかも鈍感だし俺が昔言ったことを真に受けて未だに最低限のアプリしか入れていないらしいしジャニーズ以外の男と関わるようなことには同窓会ですら行かない。

プロ意識が高いと言えばそうなのかもしれないけど、はっきり言って恋愛には向いてない。

前のドッキリでAが飲み会で仲良くなったような人と付き合えるわけがないと思ったのもそういう理由。

Aがその気になればいくらでも付き合えると思う。

もしかすると海人はそれも全部分かってて、敢えて恋愛関係になることを避けた…？

Aからの相談しか手がかりが無いから何も分からないけど、気にしてないようで誰よりもしっかりAのことを見ていた海人ならAが恋愛下手なこともそれを気にして悩んでしまうことも察していてもおかしくない。

なんだかんだ真面目だから俺が言った「今の距離が一番ふたりらしい」を気にしてる可能性もあるけど。

松田「わかんないよね、あのふたり。俺普通に加入した時から付き合ってると思ってたもん」

宮近「それはAが海人にしか話しに行かなかったからでしょ(笑)」

松田「…あ、仲悪かったのか」

笑える話じゃないけどそれぐらい海人だけはずっとAの味方だった。