虎の娘 《２》

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Miyachika side








その日の夜久々にトリプルカイトだけで居酒屋に来た。








飲んで忘れようじゃないけど松倉が気晴らしにと海人のことを誘った。









宮近 「…勢いで言ったの？」









中村 「いや、遊ぶ約束した時から今日言うって決めてた。もう今日言ってはっきり断られて終わらせようと思ってたのに"もし彼氏出来なかったらうみ相手してね"とか"返事考えとく"とか無駄に引き延ばしてきて何なのあいつうざ」









松倉 「怒らないでよ(笑)」









怒った口調で言いながらも目は優しくて本当に愛おしく大切にしてるんだと思った。









元太も今日ずっとそわそわしていてこんなにすぐ近くに大事に思ってくれてる人がたくさんいるのにひとつも気付かないって鈍感にも程がある。









宮近 「なんで付き合いたいって言わなかったの」









中村 「…強要したらA気遣って頷いてくれる気がしたから。両思いじゃないのは分かってたしそんなので付き合いたくない」









宮近 「なにイケメンじゃん」









中村 「あとちゃかが一生懸命丁寧に育ててきたアイドルでしょ、それを壊すとか出来ない」









俺と目を合わせて少しだけ申し訳なさそうにそう言ってきた。









好きになったと相談された時もこんな表情をしていた気がする。









正直俺は束縛が強すぎたから育てたみたいに言われているだけで、意識の高さもAの元々のポテンシャルだった。








わざわざ言ったから意識的にしていたところはあるかもしれないけど、多分言わなくても自分から男との関わりは減らしていたと思うしSNSにも興味は持たなかったと思う。









俺は適当に相談に乗っていただけでAの何も手伝っていない。









松倉 「いやでもAの指導係がちゃかって凄いよね。ふたりとも少しでもミスったらイライラしてそう」








宮近 「いやどんなイメージ！？(笑)割と緩かったよ俺ら」









中村 「ふたりで後輩指導してそうだもん」









松倉 「わかる。でもちゃかじゃないと無理だったよね」









中村 「多分俺だったら数ヶ月後には立場逆転してた」









松倉 「俺も」









海人だけは何があってもAのそばに居てあげて欲しいと思っていたけど、わざわざ言わなくてもずっと大切にしてくれるとAの話で盛り上がっている海人を見て思った。

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