虎の娘 (ページ47)

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Miyachika side

お風呂から上がって部屋に戻ってきて完全に修学旅行気分だった俺たちはつい最近したばかりだけど、急遽男子会をすることにした。

中村「元太は正直どうなの、ガチで狙ってんの？」

話題はもちろんAのこと。

何回か前の時は海人が本気で女性として見ているという感じだったけど、最近は今の距離感が一番落ち着くという話でまとまっているらしい。

こんな気分屋なライバルが居ると元太もやりにくいだろうな、なんて呑気に思う。

松田「…でも、最近海人が彼氏いじりしてるの見てなんかアイドルに恋人が居るってどうなんだろうって思い始めてて」

吉澤「隠せば良いじゃん」

松田「いや、でもやっぱ無理だって。絶対Aちゃんそういうの嫌いだもん」

確かにAは嘘つけないタイプだし、自分を大切にしてくれる人のことは大切にしたいって言うだろうし嫌がるかもな、なんて考えているとドアの影から覗いているAと目が合った。

…待って、これヤバくない？

自分でも下手なのは分かっていたけど無理やり話を切り上げて自分から輪から外れるともうドアの前にAは居なかった。

松倉「何、どうしたの」

宮近「…A、居た」

小さくそう言うと一斉に部屋が静かになる。

宮近「俺呼んでくる。もう何も無かったフリしてて」

話してたことは完璧にバレてるし全ての言動が不自然だったことにも変わりはないけど、だからって説明も出来ない。

Aに見なかったことにしてもらうしか無かった。

部屋から出てすぐの自販機のところにAは居た。

声を掛けて確認すると何についての話かは全く聞いていなかったらしくとりあえず安心した。

そして普通の顔をして部屋に戻った。

Aが海人の隣に行くのを見ながらベランダの外に出て元太と松倉と話す。

松田「俺、公認とかそういうのじゃなくてAちゃんに嘘つかせたくない」

松倉「元太はそう言う気がしてた」

宮近「海人が諦めたのもそれなんだよ」

友達でもありメンバーの恋が実らなくて悔しい思いが半分、相手のことを考えて身を引ける人が二人もメンバーに居ることが嬉しい気持ちが半分で少し複雑な感情だった。