35 ページ35
「本当ならこんな所よりずっとずっと広い場所にいたはずなのにさ、
私達人間から見て同じ見た目だからとか、
一緒に居てもお互い喧嘩しないっぽいからだとか、
大体そんな理由で同じ水槽の中に入れられて。
嫌いな奴がいても水槽の幅以上には逃げられないし、
他の水槽に好きな子がいても会いに行けない。
そうやって一生を終えるんだよ」
降「.......わざわざ憐れみに来たのか?」
「違うよ!可哀想だとは思ってない。
魚には魚の生き方があるだろうしさ、ただどんな生き物だって人生は一度きりじゃん?
不幸でも、短くても、皆平等、人生は一度きり.........」
ガラスに両手を貼り付けて、以前にも見たことあるような表情を始めた小娘はなぜか話を続けず
少し待ってみても続きが得られなかったから
降「.......それで?」
「あ、だから、おじさんも後悔しないようにね!出来るだけ前を見ながら今を大事に!ね?」
降「.......余計なお世話だ。見ないならもう帰るぞ」
「えっ!イルカは!?」
仕方なく調べてみるとちょうどショーの時間
それを知って足早になった騒がしさに手を引かれ、途中で"そっちじゃない"と道を修正してやりながら辿り着いたショー会場
一番前の席をわざわざ陣取り
どうしたらそんなに体力があるのかと思うくらいに隣ではしゃがれ
恥ずかしくて他人のふりをしたくなったくらい
「可愛かったー!ネットで見た事はあったけどイルカって本当に賢いんだね!次はアシカの
降「もういいだろ、帰ろう」
「え、まだ30分しか
降「今日の事で仕事が山積みなんだ。今度スマホを渡すからそしたら自分で勝手に来い」
「す、スマホ?なんで?私別に
降「とにかく今は帰るんだ」
えー!?
と不服な少女を半ば強引に引き摺るようにして出口へと向かうと、こいつの目に入ってしまったのは水族館のグッズショップ
「待って待って!ちょっと見たいー!」
降「はぁ.......」
もう疲れた
朝から緊張感のある列車旅で、頭の中は考えなくてはいけない事でいっぱい
こんな面倒なのに付き合っていられる程の余裕が無い
降「これでいいな」
「えっ、あ......
降「会計お願いします」
とにかく今だけでもいいからこのテンションを押さえつける為にと、手っ取り早くイルカのぬいぐるみを一つ
その会計をしている間隣に感じていたのは確かにまた不服だったんだが、
降「ほら、自分で持て」
「.......ありがとう!絶対大事にするね!」
367人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆら - 続き楽しみにしてます!応援してます! (2023年1月1日 15時) (レス) @page28 id: 681b8d2ef0 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主が嫌いになれない性格 面白い! (2022年12月26日 17時) (レス) @page17 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - めっちゃ好きっ…え、流石に面白すぎますって。大好きです。無理せずに更新頑張って下さいね!応援してますぅぅぅ!! (2022年12月26日 12時) (レス) @page17 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!主人公と安室さんがこれからどんな生活を送るのか続きが気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張って下さい✨応援してますッ! (2022年12月9日 21時) (レス) @page6 id: b6cd6b0cba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∂ | 作成日時:2022年12月9日 20時