協専ハンターは大変です【H×H】 (ページ11)

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11話電話越しの誘いページ11

それからビーンズさんはエントランスまで見送りに来てくれた。

｢ビーンズさん。今日はありがとうございました｣
｢いえいえ、Aさんは協力的で助かります！｣

私も常識人のビーンズさんの存在は有難い。
同業のハンターたちは一癖や二癖あって、時々自分の感覚が間違っているのではと感じる。そういう感覚は必要なことだ。自分が自分であることを忘れないために。

｢それよりも協会関係者だとバレないように気をつけてくださいね｣
｢表情や態度に出ないように頑張ります｣

何気にこれが一番難しいかったりして。プロとして他人を貫き通せねば。途中で離脱などあれば最悪協会からの信用を失い、協専ハンターとしての仕事を失うことになる。
数日前のことが正夢になるのは避けたい。

｢では試験会場で｣

｢はーい、あたしだけどー｣
｢もしもしーAです｣

私はあれから一通り目を通し、気になったところの下調べをしていた。そして、二次試験の試験官を担当する、食に対するこだわりが強いあの人に聞きたいことがあった。

｢メンチさんお久しぶりです｣
｢あらーAじゃない！聞いたわよ｣

メンチさんはハンターの中で歳が近くて話が合うし、何かとお世話になっている。専門とするハンターは違うけど、先輩と後輩みたいな関係だ。
それに、アクティブなこのお姉様は、食文化への貢献で一ツ星の称号を持っている。ほんとに尊敬しかない。

｢実はメンチさんに聞きたいことがあって｣
｢何かしら？なんでも言ってちょうだい｣
｢あの｣
｢スシってなんですか？｣

｢あはは！スシね！｣

メンチさんが電話越しにケラケラと笑っている声が聞こえる。そんなに面白い食べ物なのかスシ。
気を取り直してメンチさんの説明によると、スシとはお酢と混ぜたライスをにぎって、その上に魚・貝の肉などの具をのせたものだそうだ。スシがポピュラーなジャポンという国も初めて知った。

｢記入があっさりとしすぎなんですよ。スシをつくるって｣
｢分かればいいのよ分かれば。一次と三次誰だっけ？｣
｢サトツさんとリッポーさんです｣
｢そりゃキッチリ書くあの人たちと比べると、余計にスカスカに見えるわけだわ｣

｢ねえあんた試験中暇でしょ？飛行船で合流しない？｣
｢それバレませんか？｣
｢大丈夫だって！あたしがあんたのことかっ攫うから｣

メンチさんがあまりに男前発言をするので乗りそうになったが、お断りさせてもらった。今年の試験は厳しそうだ。