玖-17 ページ30
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全員がほぼ同時に机の上にある飴の袋に勢いよく支線を向けた。
未だにバリバリとなり続けるそれは、どんどん膨らんで……膨らんでる!?え!?
突如袋の中から現れた手は、近くにいた勿怪から飴をとって食べてしまった。
「くすすっ、ばーーか」
袋の中から現れた子供……もといミライは、物怪を胸にそう言い放った。
「「あぁぁぁあぁあ!?」」
「あっ!」
そのまま机から飛び降りたミライを捕まえようと皆が動き出して、まっさきに寧々と花子くんが重なるように地面に崩れ落ちた。
ついでにミライは花子くんの頭を踏んだ。
「よっ……ととと、……あれ」
宙に舞ったミライを捕まえようと体を動かすも、足を踏み外して勢いよく転んでしまった。
久々にこんな転び方したかもしれない……
「ふっ、ノロマ」
そう言った蒼井もミライに足蹴にされていた。
「きゃーっ、くすくす」
身軽に生徒会室を飛び回るミライを捕まえようと全員で走り回るも全部躱される。
突然そこだ!と叫んだ花子くんと蒼井がほぼ同時にミライの元に手を伸ばすが……仲良しかな?と思うくらいタイミングが良くて、お互いと頭をぶつけていた。
「ま、また逃げられちゃう!」
「僕が捕まえ……っ!」
「俺を甘く見んなよ、七不思議……
さっきは好きにやられたが、テメェの動きは完全に見切っ……あぁぁあああ!」
ナイスタイミングでミライの髪の毛を掴んだ光だったが、そのまま光の時間が進められてしまった。
どさっと勢いよく地面に落ちてきた光……痛そう……
「ああ……学年の平均年齢が上がる……」
「光が僕より先に成長しちゃう……」
「ん〜〜、貴方なんだか進めづらぁい。
せっかくカッコヨクしてあげようとおもったのにシッパイしちゃった」
くすすっと笑ったミライは、そう言い残して何処かに消えてしまった。
それにしても、失敗ってどういうことだろう……?
こ、光に何かあったら僕が許さないからね!あとあの毒兄も!!
「光っ!大丈夫!?」
埃で見えなかった光の体が少しずつ見え始める。
また老人化したのか……と思ったが、次に聞こえてきた光の声は 老人のそれとは少し違った。
「クソッ、逃げやがったな……ちびっこめ!」
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