Lifesaving - 感じる鼓動 - 2章

・ LIFE ５４ ページ9

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そうね。と頷き搬送しようとすると母親が雪村さんに詰め寄った。




母｢何してるんですか。早く抜いてやってください！ねぇ、どうしてこのままなの？早く抜かないと健ちゃん死んじゃう！｣




でも雪村さんはそれに対応することなくはぁ、と溜息をつき自分のするべき仕事だけをしていた。




『お母さん、落ち着いてください。鉄串をここで抜くのはかえって危険です。首の中で血管や神経を傷つけていないか、病院できちんと検査をしたのちに、慎重に抜きます。』

母｢それで、それで健ちゃんは助かるんですよね？助けて、助けてください、お願いします｣









翔北に戻り初療室にストレッチャーを運ぶ。





『北原健太郎くん、8歳。脈拍120、血圧100-64。現場で挿管した。』




白石と藤川と緋山が私の言葉を聞いて頷いた。耕がいない。と思ったらもう一つの初療台で橘先生と小児科の井上先生と誰かの処置にあたっていた。




名取｢血管造影ですね。｣




やるじゃん。と褒めると当たり前みたいな顔をされた。昔の私とそっくりだ。

血管造影室に健太郎くんを運び、撮影した映像を名取先生と横峯先生が確認をする。




『どう？』




そう問えば名取先生は




名取｢ありました。リークが見えます。やっぱり頸動脈を傷つけてます。｣

『うん。そうね。それで？』

名取｢内シャントチューブを入れて左頸動脈を切断。鉄串を抜いて血管を縫合します。｣

『そうね。』



名取先生に見せられた映像をもう一度見る。



『……確かに教科書どおりならそれであってるよ。』



その言葉に名取先生は顔をしかめもう一度映像を見ると目を見開いた。



『気づいた？』

名取｢……仮性動脈瘤が、あります。まだかなり小さいですけど。｣

『内シャウトチューブでいけるかは首を開けてみないとわからないわね。そうね……脳血管も見てみましょっか』



そう言うと看護師がベッドの傾斜を変えて健太郎くんの頭部にエックス線が当たるようにする。




名取｢……じゃあ、左頸動脈をこのまま遮断するんですか？｣

『仮性動脈瘤を切除して、鉄串を抜くにはそれしかないわ。』

横峯｢そしたら、左脳に行く血液が減るね。何分くらいで遮断できるんだろ？｣

名取｢左右の脳をつなぐ交通動脈の太さによる。右脳から十分に血液が貰えるなら手術の間くらいは大丈夫だよ。｣






するとそこに耕が入ってきた。







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