20話目《皇 那保》 ページ21
「じゃあ行ってくるからな」
「グルッペン・・・」
「今生の別れやないんやから、ほら、あくしろよ」
上から
不安そうな表情をしながら那保の頬を撫でるグルッペン。
泣きそうな顔をしながら、グルッペンに抱き付く那保。
そんな二人を呆れた顔をしながら、見守るトントンである。
「トンち・・・」
「トントン・・・」
二人が、雨に打たれる捨てられた仔犬のような表情でトントンを見た。
クラス表を確認したグルッペンと那保は3年A組に向かう途中で、同じクラスとなったトントンと合流した。
しかし、今日ある朝会で8時45分までには集合しないといけなかった。生徒会役員ではない那保はこの時間が堪らなく不満で、不安だった。
ドアの前で、まるで戦場に行く兵士と、その帰りを待つかのような雰囲気を漂わせる二人に、同じく生徒会役員であるトントンは呆れを隠さなかった。
「そんな顔してもアカン!グルさん行くで!アンタが45分に来い言うたんやろ!」
「やっぱり今日無しに」
「するか馬鹿!」
「あぁ!グルッペーン!!トントン!お願い、優しくしてあげてぇ!」
結局グルッペンは、トントンに首根っこを引っ張られ、泣く泣く引き離された。
那保は、ドアから顔を覗かせて、情けなく連れ去られるグルッペンを見守った。
廊下を曲がり、那保の姿が見えなくなると、トントンはグルッペンの襟元から手を離した。
先程までの情けない顔は、何処へ消えたのか、威厳と自信に満ち溢れた表情を取り戻していた。
その代わり様に、トントンは溜息を零した。
「如何したトントン。溜息を零したら幸せが逃げるぞ」
「煩いわ。ホンマ、情けない顔晒すなや」
「そりゃあ好きな女にはかっこつけたいけどな、俺と那保は将来を誓い合った仲だ。腹の中を隠したまま夫婦にはなれんだろう」
「結婚する気満々か」
グルッペンと、トントンはそのまま他愛のない会話をしながら生徒会室へ向かった。
★
遅くなって、すみません!今回は少し短めです。
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雛月いず(元りぃふ)(プロフ) - rewさん» わざわざ、ご丁寧にありがとうございます…!そうなんですね!参考にしてみます!(?) (2020年8月5日 20時) (レス) id: 0b050cbadc (このIDを非表示/違反報告)
rew(プロフ) - 私の周りじゃ○○せんけ?と物事に誘う時に多く使われてますね〜。行こうけ?の場合「行かんけ」が基本的に多いですよ〜。 (2020年8月5日 20時) (レス) id: b43965c35b (このIDを非表示/違反報告)
rew(プロフ) - 四ツ葉奏さんやで〜 (2020年8月5日 20時) (レス) id: b43965c35b (このIDを非表示/違反報告)
ミク*shark@だーいすき!(プロフ) - 次誰やっけー? (2020年8月5日 19時) (レス) id: 8e46c75e30 (このIDを非表示/違反報告)
雛月いず(元りぃふ)(プロフ) - rewさん» ひえっ、申し訳ないですっ…変換サイトを利用しているので、時々おかしくなることがあります。他にもおかしいところがあれば言ってください…。 (2020年8月5日 19時) (レス) id: 0b050cbadc (このIDを非表示/違反報告)
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