幼馴染みが、あの有名実況者とか聞いてないっ！！［wrwrd!］［^ら^運営］［合作］ (ページ3)

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第3話《氷見清哉》ページ3

自分自身の意思なんて存在しないであろう夢の中で、間延びした聞き覚えのある声を掛けられる。

何かを言われているが、残念ながら聞き取れないし、今は此処から動きたくないのだ。『昨日は頑張ったから、もう少し寝かせてほしい……。』なんて、甘えた考えを思考の奥底から引き摺り出し、顔の下に位置する枕を抱き締める。身体を丸めながら、浮上しかけた意識をもう一度深淵に投げ捨てようと視界を光から遮断する。

「ねぇ、もう朝だけど……起きないの。」

背中を優しく押される感覚と寝起きだからか五月蝿く感じる声に、意味の無い呻きのような声を吐き出す。そのままぐるりと寝返りをうって、右を下に完全に身体を丸め込む。だが、声を掛けた人物は、想定内だとでも言うように身体に掛けていたタオルケットを僕から剥いでいく。

身体の上にあったものが消えて軽くなった身体を、さらに縮めれば、耳元で轟くように鳴り響くアラームが聴覚を占領する。頭上付近で感じる重みと、誰かの溜め息のような息遣いが耳に残り、ぼんやりと瞼を開く。何事かと見上げれば、ジクジクと瞼を刺激してくる太陽の光が邪魔に感じた為、右手を瞳の上に持ってきて翳した。

「……おはよう、ひゃみ。起きて、昼になるから。」

自身の顔の上に影が重なり、そちらに視線を向ければ、ぼんやりと此方を見る彼(緑埜)と目が合う。無愛想に捉えられがちな彼は思ったよりも表情のレパートリーは多くて。心配と呆れが合わさった視線をビシビシと送ってくる為、苦笑いを浮かべて『ごめん、疲れてて。』とだけ返す。起きるように施されて、右手から力を抜いてだらりと布団に落とせば、がん、と音を発てて何かにぶつかる。慌ててスマホかと思い、其を掴んでそちらに顔を向ける。

僕は、現在AM(午前)［9:49］を示す壊れ掛けのデジタル時計を片手で少々乱雑に掴んでいた。

目に映ったその時間に、純粋に驚きを感じて声をあげれば、枕元に座っていた彼が溜め息を吐いた。視線をずらしながら、重たい身体を引き摺りながらも起き上がらせれば、昨日、夜な夜な行っていた夜間動画編集のお供をしていたジャンクフードの袋は片付けられずに放り出されて、冷えた床に寝そべっている。忘れていた、と今後悔しながら片付けようと立ち上がれば、服の裾を横に居た彼に引っ張られる。

『えっと……？どうかしたの、みど。』

そう言えば彼は頬に空気を入れて、膨らませながら此方に視線を飛ばしてくる。