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「っ、やっぱむり!」
そう言い聞かせても、私は子供だった。
一口だけ含んだそれはあまりに苦くて、むせ返りそうになりながら必死に飲み込む。
ほんと、彼が水なんか頼まなきゃこんなことには!
『……っふは(笑)』
「え、」
『ごめん、恥ずかしいとこ見ちゃったかも』
「……めぐろ、さん」
最初に撮影をする3人以外は休憩だから彼がここにいることは何もおかしくなんかないんだけど、ばかみたいなところを見られてしまって一気に熱が集まる。
『間違えて買っちゃったの?』
「……ちがいます」
『え、さっきむせかけてなかった?』
「勘違いです、ブラックだいすきです」
『そう?』
「……はい」
もしかしてこういうところが、子供なのかな。
『あ〜、まじか』
「どうしたんですか」
『ブラックコーヒー売り切れ、』
「……っ、ごめんなさい」
『嫌』
「え、っと」
『カフェオレでいい?ミルクたっぷりって書いてるし、』
「っ、へ?」
『俺ブラック以外嫌なんだよね』
そう言って目の前に差し出されたのは、甘いカフェオレ。
「……ありがとう、ございます」
『いいよ、俺のわがままだったし』
「あ、でも、目黒さん」
『ん?』
“ 間接キスになっちゃいますけど、いいですか? ”
……いやいやいや、そんなこと聞く方が恥ずかしいに決まってる。
「っ、なんもないです!」
『はは、おもしれ〜、やっぱ』
「……どこがですか」
『Aさんさ、今週暇な日ないの?』
「ひまな、日……?」
『飲みに行こうよ、』
顔がいいな、とか思ってる場合じゃなく。
いやほんと、うん。
「っ、なんでですか!?」
『何でって、……普通に行きたいから誘っただけなんだけど(笑)』
「や、でもあの」
『色々、溜まってることありそうだし?』
「……っ、」
『待ってる、』
私の飲みかけのブラックコーヒーを片手に、ふらふらとスタジオに戻っていく。
彼とは偶に話す程度、それこそ渡辺さんがいる時にやり取りの輪にちょっと私が入っている程度だった。
そんな彼と飲みに行くって?いや無理でしょ、会話続く訳ないし。
そもそもからかわれてるだけっていう説ない?あるよね。
でも、それより何より。
「……いけめん怖、」
……あんな調子じゃ、心臓が持つか自信がないです。
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作者名:ざりがに | 作成日時:2021年4月4日 1時