気持ちの神髄-土方side- ページ36
「すっ、お、??…へ?えぇ!?」
言葉にも、もはや単語にもなっていない変な生き物みたいな奇声を発するAに思わず吹き出してしまった。
「意味が理解出来て無ェんだったらもう一度言ってやろうか?」
からかう様にそう言うと、ボンと言う音でもしそうな位顔を真っ赤に染め首を全力で横に振る。
しかし暫く黙った後「…あ、あの好いてるってそういう意味の好いてる…ですよね??」と不安げに俺を見た。
…こいつ本当に馬鹿だな。そういう意味でなければ、俺がこうして女を抱きしめるはずないのに。
「…俺がその質問に答える前に、1ついいか。」
ここで「あぁそうだ」と首を縦に振るのも良いが、それでは少し面白くない。それに俺はまだ聞きたい事がある。
「……お前、なんでその徹とやらに俺を重ねてたんだ?」
「…………え」
意地悪な質問だと自分でも分かっているし。その言葉の意味が指すものも分かっている。
けれどちゃんとした言葉で欲しかった。
ちゃんとした言葉で、その目に俺を映し、言って欲しかった。女々しいと言われるかもしれないし、鬼の副長なんて言われている風上にも置けないかもしれねェが・・。
「――――好きだからですよ」
焦げ茶色の瞳に俺の顔が映った。その顔はどうしようもないほどに緩んでいて、「どこが鬼だよ」なんて思ってしまう始末である。けれどその位嬉しい言葉をこいつは言ってくれたのだ。
「あなたが、…土方十四郎さんが好きだからです。私は貴方に恋い焦がれてます」
“恋い焦がれる”そりゃ俺も同じだ。お前を想って、悩んで――。
俺よりも随分と小さく細い体を抱きしめる。
「…ははっ、俺と同じだな」
そういうとAが息を飲むのが分かった。そして、次の瞬間には俺の肩が濡れていた。小さく漏れる嗚咽に悪い気はしない。むしろ、これからはそれを俺が拭ってやれるのだと思うと嫌悪とは逆の気持ちが溢れ出る。
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紅華(プロフ) - 閃光の歌姫さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉ありがとうございます泣!!! (2017年12月30日 13時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
閃光の歌姫 - うおおおお!心理描写とか上手すぎて泣きそうになりました… (2017年12月30日 0時) (レス) id: 873bf975e9 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 舞佳さん» ありがとうございます!twitterでフォローして頂いた方ですよね??コメ欄でも…嬉しいです!泣 土方さんにキュンキュンして頂けて本当に嬉しいです。次回作も頑張ります!!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - よしなさん» 返信遅れてすいませんでした!!応援ありがとうございます!!無事完結しました!ありがとうございました!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
舞佳(プロフ) - 完結おめでとうございます!土方さん素敵過ぎてキュンキュンしてしまいました!!次回作も楽しみにしてます!頑張ってください!!! (2017年12月27日 19時) (レス) id: eb455c1ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅華 | 作成日時:2017年6月30日 20時